専門性や立場の異なる複数の識者が半導体の今と将来を論じる「SCR大喜利」、今回のテーマは「微細化終焉後の人間社会を展望する」である。長年、半導体の進化のドライバーであり続けてきた微細化技術は今、限界に近付きつつあるとされる。もし本当に微細化が止まってしまったら、電子機器の進化、さらには人類社会には何が起こるのか。半導体技術者や業界の動きを常に追うコンサルタント、研究者など4人に聞いた。

 各回答者には、以下の三つの質問を投げかけた。今回の回答者は、日経BP半導体リサーチでコラム「清水洋治の半導体産業俯瞰」を連載中の清水洋治氏である。

清水洋治(しみず ひろはる)
某半導体メーカー
某半導体メーカーで、(1)半導体の開発設計、(2)マーケット調査と市場理解、(3)機器の分解や半導体チップ調査、(4)人材育成、という四つの業務に従事中。この間、10年間の米国駐在や他社との協業を経験してきた。日経BP半導体リサーチにて、半導体産業に関わるさまざまなトピックスを取り上げつつ、日本の半導体産業が向かうべき方向性を提起する連載コラム「清水洋治の半導体産業俯瞰」を連載中。

【質問1】半導体(主にCPUのようなロジックLSIを想定)の微細化はいつごろ、どのような理由で止まると考えられますか?
【回答】 投資費用が障壁となり7nm前後で限界を迎える

【質問2】微細化が止まったとすると、人々の暮らしや社会基盤にはどのような影響を与えると考えられますか?
【回答】 特に変化はなく実装技術で機能を実現するようになる

【質問3】微細化が止まったとすると、コンピュータや電子機器は何を基軸として進化すると考えられますか?
【回答】 消費電力の低減

【質問1の回答】投資費用が障壁となり7nm前後で限界を迎える

 微細化は当面止まらないと考えています。16/14nmは実現される。その先は10nmクラスですが、既に研究は進んでいます。その先の7nmあたりが限界かもしれませんが、それには10年かかる。半導体業界にとって10年後とははるか遠くのことなので、現時点では当面は止まらないという前提で考えていくべきと思います。ただし10nmの壁ははるかに高いので、巨大費用に耐えられるプレーヤーは残っていないかもしれません。費用面が最大の理由になると思います。