皆さん、こんにちは。毎年6月はスパコン関係者にとって、大変わくわくする時です。このコラムでも何度か取り上げているスパコンランキング「Top500」の更新時期だからです! その前夜祭代わりに、スパコンのここ10年を少し視点を変えて振り返ってみたいと思います。注目するのはオペレーティング・システム(OS)。他のコンピューター同様スパコンでも、これがないとそもそもシステムを利用できない、という重要な要素です。
2014年のOSトレンドを見てみる
さっそく、この分野の直近を振り返ってみたいと思います。そのために使うデータは、やはりTOP500です。TOP500のデータはさまざまな分析に使えるようになっていて、OSについてもよく分かります。そこで、最新(2013年11月発表)のランキングから、上位500システムにおけるOSの種類を見てみたいと思います(表1)。
オペレーティング・システム名 | システム数 | 百分率 |
---|---|---|
Linux | 414 | 82.8% |
Cray Linux Environment | 20 | 4.0% |
SUSE Linux Enterprise Server 11 | 13 | 2.6% |
AIX | 11 | 2.2% |
CentOS | 11 | 2.2% |
Bullx Linux | 4 | 0.8% |
CNK/SLES 9 | 4 | 0.8% |
Redhat Enterprise Linux 6 | 4 | 0.8% |
RHEL 6.2 | 4 | 0.8% |
bullx SUperCOmputer Suite A.E.2.1 | 3 | 0.6% |
Redhat Linux | 2 | 0.4% |
SLES10 + SGI ProPack 5 | 2 | 0.4% |
CNL | 1 | 0.2% |
Kylin Linux | 1 | 0.2% |
RHEL 6.1 | 1 | 0.2% |
Scientific Linux | 1 | 0.2% |
Super-UX | 1 | 0.2% |
SUSE Linux | 1 | 0.2% |
Windows Azure | 1 | 0.2% |
Windows HPC 2008 | 1 | 0.2% |
まず圧倒的なシェアを誇っているのがLinuxで、実に82%以上のシステムがこれを採用しています。もちろん世界最速の「Tianhe-2」もLinuxです。さらに2位以降も「SuSE Linux」「CentOS」と実に90%近くが“Linux系”のOSを採用しています。これらからすぐ分かるのは、米Intel社の「x86サーバー」を採用しているシステムが非常に多いということです。
筆者がかつて担当したWindowsは、最新のリストではわずか1システムしか残っていません。面白いのは、クラウド基盤として存在しているWindows Azureが1システムが入っていることです。かつてスパコン界を席巻した、メーカー独自の“UNIX系”OSもすっかり少なくなってしまいました。
MacOSは、1システムも入っていません。当たり前のことに思えるかもしれませんが、実はそう当たり前とも言い切れないのです。