普段取材活動を続けていると、未発表の新製品の話を耳にする機会がある。最近とみに話題に上るのが、米Apple社が開発しているという時計型端末「iWatch」である。もちろん、製品名を含めて同社から正式な発表はなく、「噂」レベルの話である。とはいえ、ある程度信頼できる複数の取材先からApple社の時計型端末にまつわる話を聞いたので、筆者個人の考えを織り交ぜつつ、本ブログで(非常に)簡単にまとめて紹介したい。

 まず、Apple社はヘッドマウントディスプレー(HMD)の製品化にはしばらく踏み切らないとみられる。ウエアラブル端末では、「スマートウオッチ」と呼ばれるような腕時計型端末の製品化から始めるもよう。2014年6、7月ごろに時計型端末が登場すると言われている。もしそうであれば、毎年6月ごろに開催されている開発者会議「WWDC」で発表されるだろう。

 次に搭載機能だが、残念ながらあまり情報を得られていない。少なくとも、カメラとマイクが搭載されるようだ。外観デザインは、高級腕時計を強く意識したものになるという。最近発表された、米Motorola Mobility社の腕時計型端末「Moto 360」の外観も、高級時計のようである(関連記事)。腕時計は宝飾品の側面を持つため、高級時計の外観デザインに似せるのだろう。表示部は、腕時計に多い丸形ではなく、角形になるもよう。これは現在のディスプレーの形状が角形なのが一般的だからだ。

 腕時計型端末の登場で、Apple社の製品ラインアップも見直しされ、一部の機種が消滅する可能性がある。その最たる候補が「iPod nano」だと考えている。iPod nanoの第6世代品(現行品は第7世代)では腕時計型バンドのオプションがあり、スマートウオッチのような形態で利用できたからだ。そもそも、iPhoneやiPadで音楽を聴けるので、iPod nanoの存在意義は以前よりも薄れており、製品の種類を絞る戦略を持つといわれるApple社が、iPod nanoをやめても不思議ではない。

 以上が、筆者が入手したiWatchの話だが、次期iPhoneにまつわる話も聞いている。その詳細は、T副編集長と共に日経エレクトロニクス2014年3月31日号に掲載する予定である。