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日本半導体産業の「あるべき姿」

日本半導体産業の「あるべき姿」

大山聡の「勝手にコンサル」

大山聡=IHSグローバル Technology 主席アナリスト
2014/03/20 07:00
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 前回と前々回の本稿コラムで、現在日本で起こっている半導体業界の動きを紹介しながら、日本に独立ファウンドリーを設立する良い機会が訪れた、と主張した。これは日本の半導体業界だけでなく、世界の半導体業界にとっても望ましいことだと筆者は確信しており、業界再編のシナリオとしては最善策だと思っている。今回は日本半導体産業の強みと弱みを整理しながら、その「あるべき姿」について持論を展開したい。

すり合わせにこだわる日系企業

 半導体業界に限った話ではないが、日系企業の多くは、解決すべき問題に直面すると状況を詳細に分析し、すり合わせの手法を駆使して最善策を探そうとする。少なくとも、問題の表面だけを眺めて単純な処理で間に合わせる、といった手法を選ぼうとしない傾向がある。この気質が高品質を保証し、日系ブランドを確立してきたわけだが、この手法には手間ひまが掛かり、コストが割高になるという代償が伴う。

 ウエハー口径が6インチ以下だった20年以上前を振り返ると、設計開発環境が十分に整わない中で社内リソースを駆使してデバイスの開発を行い、独自の半導体製造技術を駆使してデバイスの製造を行う、という多くのすり合わせ作業が半導体事業には必要だった。この状況下で、高品質の半導体製品を量産してきたのが日系大手の各社である。設計や製造の環境が整っている現在と比べれば、当時は手間ひまもコストも掛かっていたが、掛けるだけの価値はあった。世界半導体市場における日系シェアは50%超を誇っていた。

 ところが、ウエハー口径が8インチの時代に入るとともに、設計開発ツールは飛躍的に進歩し、回路設計に関するすり合わせ作業は減少していった。製造技術についても、装置メーカー各社との共同開発が進むことで、半導体メーカーごとに異なっていた製造工程は徐々にオープン化され、やはりすり合わせの必要性が減少していった。つまり、手間ひまやコストを掛けなくても半導体の設計や製造が可能になったことで、日系企業の従来の優位性が失われていったことになる。

水平分業と垂直統合はすみ分けている

 設計や製造の環境が整うことですり合わせの必要性が減ると、特定の作業に経営資源を集中させる企業が頭角を現し、水平分業が進む。とりわけ、特定分野向けの半導体製品はファブレス形式のASSPメーカーが高い実績を上げており(図1)、大手ファウンドリー企業との連携が必然の組み合わせになっている。

 2013年の世界ランキングでは、上位10社のうち8社をファブレス企業が占めている。設計と製造を分離した水平分業による成功事例が多く見られる分野となっているわけだ。

図1●ASSPメーカーのランキング(IHS Technologyのデータ)
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 ただし、垂直統合型といわれるIDM企業が優位性を維持している分野も存在する。具体的にはメモリー市場とアナログIC市場である。メモリー市場では上位10社すべてがIDMであり、アナログIC市場では上位10社中8社をIDMが占めている(図2、図3)。両市場ではIDMの強みとされる「設計と製造のすり合せ」が実績に反映されていると言えよう。

 問題なのは、両市場の上位ランクに日系企業がほとんど入っていないことである。実際、メモリー市場における日系企業のシェアは13.4%(東芝の12.5%を除くと0.9%)、アナログIC市場ではわずか9.7%にとどまっている。残念ながら、IDMの強みを生かせるはずの市場において、IDM形態にこだわってきた日系企業各社は実績を残せなかったのだ。

図2●メモリー市場ランキング(IHS Technologyのデータ)
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図3●アナログ市場ランキング(IHS Technologyのデータ)
[画像のクリックで拡大表示]

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