日経AutomotiveTechnology編集部に3年ぶりに戻ってきました。自動車業界で大きな変化があったと感じるのは安全システムと燃料電池車への期待です。IT(情報技術)業界に比べると技術革新が遅いといわれる自動車業界も大きな変革期を迎えているといえるでしょう。

 安全システムでは、カメラやレーダーによる衝突回避システムが広く普及し、本格的な実用化段階に入りつつあります。3年前「プリクラッシュー・セーフティー・システムは、自動車メーカーの技術力を示すもの、車両搭載率は3%もない」と言われていました。最近は価格も安く、小型車でも選べるまでになりました。

 
 少し違和感を感じるのは、自動運転という言葉が過大評価されていることです。自動車の安全システムとしてまず大切なのは、ぶつからないクルマです。単眼カメラなど簡易なシステムでどうシステムを実現するのか、部品メーカーを巻き込んでさらに議論・競争することで進歩が加速するでしょう。ぶつからないクルマの精度が高くなれば、結果として自動運転というのはついてくるはずです。

 燃料電池車の導入を2015年に控えて、水素ステーションの取り組みも本格化しています。以前は1カ所あたり6億円程度かかる設置コストを欧州並みの3億円に減らすための規制緩和が大きな議題でしたが、最近では水素ステーションの周辺住民への合意が大きなテーマになっています。

 水素ステーションでは、水素を漏らさない、漏れたらセンサーですぐに検知する、1か所にたまらないように拡散させる、など何重もの安全対策が施されています。

 自動車業界の変革期に、何が起こり、どう変わっていくのか、ウオッチしていきたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。