日経テクノロジーオンラインの半導体関連サイト「半導体デバイス」「半導体製造」「EDA」に投稿された全ての記事(アナログ、日経BP半導体リサーチ記事を含む)のうち、直近4週間(2014年2月24日~3月17日)に最もアクセス数が多かったのは、LEDや有機EL素子の輝度を約2倍に上げる技術を紹介した記事だった。王子ホールディングスが微細粒子の精密塗工技術を応用して開発した加工技術である。
記事によれば、最近の高効率LEDの多くは、表面に微細な凹凸または波型の加工を施したサファイア基板「PSS(patterned sapphire substrate)」を用いている。PSSによって基板の上の窒化ガリウム(GaN)結晶からの光が反射しやすくなり、LEDの光取り出し効率が上がることなどで、発光効率が20~30%向上する例が多い。PSSの作製技術には、半導体製造技術の光リソグラフィーやナノインプリントが一般に用いられている。
今回、王子ホールディングスが作製したLEDもこのPSSを用いている。ただし、光リソグラフィーやナノインプリントではなく、独自の微細粒子精密塗工技術を利用した独自の「ND(ナノドットアレイ)-PSS」だとする。この技術について詳細は明らかにしていないが、最小で200nmのピッチの凹凸構造のND-PSSのほか、数百nmのピッチと数μmのピッチを組み合わせた複合構造型ND-PSSも実現できるという。 同社によれば、こうしたND-PSSを用いて作製したLEDは、発光波長が385nmの素子で正面方向の輝度が2.4倍になり、全光束でも1.8倍になったとする。なお、発光効率は明らかにしていない。王子ホールディングスは、2016年に4インチを中心に、2~6インチPSSの販売を始める計画。同社にはこれまで、LED向けサファイア基板の出荷実績はなく、新規参入になるという。
フォーカスフリーのピコプロジェクター・モジュール
今回のランキングで2位になったのは、ソニーが開発したピコプロジェクター・モジュールを紹介した記事である。投影面との距離や角度にかかわらず焦点が合う「フォーカスフリー」でHD映像を投影できることが特徴。このモジュールでは、半導体レーザーを光源とし、そのレーザー光線をMEMSミラーで反射、制御して走査し、映像を投影するレーザー走査方式を採用した。レーザー光線は、集光性が高く直進性に優れていることから、フォーカスフリーが可能になるという。
モジュールの大きさは縦52.5mm×横63.0mm×高さ7.2mm。Wi-Fi部品や電池と組み合わせれば、スマートフォンやタブレット端末などの映像を、壁や机などの平面や曲面に投影して楽しめる小型プロジェクターを実現できる。ソニーは、このモジュールをさらに小型化、高輝度化するなどして、プロジェクターやプロジェクター機能を搭載した機器向けに製品化を目指す。
今回のランキングで7位になったのは、「世界半導体サミット2014@東京」(2014年3月14日に東京で日経BP半導体リサーチが開催)の講演を紹介した記事である。同記事はルネサスエレクトロニクスの講演を紹介している。講演のタイトルは、「ルネサスが目指す今後のクルマ社会とIoT市場への貢献」だった。
登壇した執行役員常務の大村隆司氏によれば、同社は制御とITの融合技術を強みに今後のIoT市場に取り組んでいくという。東日本大震災で大きな被害を受けた同社は、供給責任や社会的貢献を痛感し、これまでのクローズになりがちな事業体制を変革し、よりオープンにアライアンスを組んでいく方向性に舵を切っているとした。