スタートダッシュに成功した「PlayStation(PS) 4」と「Xbox One」。対照的に不振の「Wii U」。この1年ほどで登場した新型の家庭用ゲーム機は、売れ行きの明暗が分かれました。
任天堂の業績低迷の主因となったWii Uの不振の理由は、さまざまなところで分析されています。最も目立つ論調は「ゲーム専用機の時代は終わった。ゲームでも、スマートフォン(スマホ)の時代がやってきたのだ」というものでしょう。
カジュアル、取り込めず
それは違うと話すのは、SMBC日興証券のシニアアナリストで、ゲーム業界に詳しい前田栄二氏。日経テクノロジーオンラインのテーマサイト「家電・PC」で、2月5日~3月4日の1カ月間に断トツのアクセス数を叩き出した記事「バトンタッチに成功したPS4とXbox One、失敗したWii U」で、同氏は「対応ゲームがユーザーの購入意欲を刺激できなかった」と分析しています。
ゲーム専用機でゲームを楽しむ「ゲーマー」は、世界にまだ2億人規模で存在するそうです。前機種の「Wii」が成功した要因の一つは、その周辺にいる「カジュアルゲーマー」を取り込んだこと。Wii Uでは、カジュアルゲーマーを取り込むはずのキラーゲームがうまく訴求できていないという見立てです。
この記事を読んだ読者からは、「Wii Uには、子供が親を説得できる材料がない」という意見が寄せられました。
この意見も、カジュアルゲーマーの琴線に触れる枠組みを作れていないという点に帰着するのかもしれません。現状では、「子供」というコアなユーザーが周辺にいる「親」というカジュアルゲーマーを説得できないということでしょう。家族や友人が集まったときにみんなで楽しめる。これは、これまで歴代のゲーム機で任天堂が目指してきたゲームの姿の本質的な部分です。