近年、さまざまな企業や政府が「ITやネットワーク化によって工場を進化させる」というコンセプトを提唱している。ドイツの高度技術戦略「Industry 4.0」(ドイツ語ではIndustrie 4.0)に深く関与するSiemens社は、工場についてどのような未来を描いているのか。その未来をどう実現するのか。同社インダストリー部門のCEOであるSiegfried Russwurm氏に聞いた。(聞き手は、高野 敦=日経テクノロジーオンライン)

――Siemens社は、ドイツの高度技術戦略「Industry 4.0」に深く関与しています(関連記事)。Industry 4.0で工場はどのように変わるのでしょうか。

Siemens社Executive Vice President, CEO Industry SectorのSiegfried Russwurm氏

Russwurm氏:Industry 4.0は、工場を取り巻く現実(リアル)と仮想(バーチャル)の世界をつなぐ取り組みといえます。そのための“ブロック”は、既にそろっているのです。例えば、生産ラインにはそのデジタルデータが存在しますし、生産のシミュレーションもかなり正確なレベルで実行できます。

 さらに、M2M(Machine to Machine)のような通信技術も確立されつつあります。Industry 4.0を実現するためのほとんどのブロックはあるのです。

 ただし、Industry 4.0の実現に向けて、あと3つのブロックが必要でしょう。それらは非常に重要なブロックであり、だからこそIndustry 4.0のようなコンセプトが直ちに実現するのは不可能なのです。これらのブロックが完全にそろって、Industry 4.0のコンセプトが完全に実現するには、15年ぐらいかかるかもしれません。