トヨタ対VW(フォルクスワーゲン) 2020年の覇者をめざす最強企業、中西孝樹著、1500円(税別)、単行本(ソフトカバー)、286ページ、日本経済新聞出版社 、2013年11月
トヨタ対VW(フォルクスワーゲン) 2020年の覇者をめざす最強企業、中西孝樹著、1500円(税別)、単行本(ソフトカバー)、286ページ、日本経済新聞出版社 、2013年11月
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 トヨタが成長するためには、VWの有力市場である中国、インド、ブラジルなどの新興国に切り込まなければならない。かたやVWは米国、東南アジア、インドの売り上げを伸ばさなければ、今後の成長は見込めない。

 技術面でも両社の衝突は避けられない。トヨタはVWが先行する小排気量過給ガソリンエンジンをラインアップに加える方向だし、VWもトヨタが得意なハイブリッド領域を強化しなければ世界の各国の燃費規制をクリアすることができない。

 世界のビッグ2が激突した結果、どちらが勝つことになるのか。
 「あえて安直な結論を避けながら本文を書き上げてきた」という作者が、あとがきで述べている結論は、読んでのお楽しみとさせていただく。

 一つおことわりしておきたいのは、本書は一般人にはとっつきづらい部分があり、「車が好」だけで読みはじめると戸惑うかもしれない、ということだ。
 説明なしに専門用語で出てきたり、一般人にはやや難解な言葉遣いをしている箇所もある。しかし、世界の物作りと景気動向をリードする自動車産業の鋭い分析を専門家だけのものにしておくのはもったいない。

 自動車産業を分析する視点を手に入れるためには、少しくらい難解な物言いに出会っても、気にせず読み進めることをお勧めする。

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■著者紹介
浅沼ヒロシ(あさぬま・ひろし)
ブック・レビュアー。
1957年北海道生まれ。
日経ビジネス本誌、日経ビジネスオンライン連動企画「超ビジネス書レビュー」(2011年9月終了)のほか、「宝島」誌にも連載歴あり。
ブログ「晴読雨読日記」、メルマガ「ココロにしみる読書ノート」の発行人。
著書に『泣いて 笑って ホッとして…』がある。
ツイッターアカウント:http://twitter.com/syohyou