―― そもそもファッションには、興味があったんですか。
今村 一般の人と同じくらいは。開発にチャレンジしようと思った最大の理由は、ファッション分野であれば、今までにないサービスを作れるチャンスがあったからです。しかも、技術的な難易度が高かった。ショッピングサイトで成功している会社は既に多く存在していましたが、ユーザー投稿型のWebメディアとしてファッションを扱っているサービスはありませんでした。
―― 受託開発の時期にiQONはどうしていたんですか。
今村 忙しい合間を縫って、パソコン版のiQONは公開していました。ただ、1年ほど受託開発を続けて、ふと思ったんです。「俺たち何のために独立したんだ」と。
金山と話して受託開発をきっぱり辞める必要があるという結論になりました。そこで、思いっきり舵を切って、iQONに集中することにしました。
―― 決断できた理由は何ですか。
今村 やりたいことと違っていたというのが大きいですね。受託開発を続けながらiQONの開発・運営することはとても難しかった。金山と二人でかなり悩みましたよ。でも、決断を下してからの動きは早かったと思います。
―― パソコン向けに開発したiQONは、当初に考えていたイメージと同じものでしたか。
今村 サービスの内容は、最初に思い描いていたイメージと同じです。ただ、思っていたよりもユーザーの年齢層が高めで、あまりユーザー数も多くありませんでした。当時は、若い年代向けとは特に意識していませんでしたね。
―― iQONに集中することを決めた後、システム基盤などを一新していますね。リニューアル後のユーザーの反応はどうでした?
今村 あまり効果が出ませんでした。次どうしようかと。正直なところ、当時はiPhoneアプリがこんなに早く普及するとは思っていなかったんです。でも、後から気付いたんですが、iQONを使ってくれそうなユーザー層、つまり若い女性の多くがWebサービスを使う機器は、パソコンよりもスマホなんですよね。
―― そうですか。最初から狙いを定めてスマホにリソースを投入したのかと思っていました。
今村 確かに、いずれはスマホの時代になると思ってはいました。でも、実際は「狙いを定めて」というよりも、とりあえずアプリを出してみようかという感じです。それで、実際にアプリを公開してみたら、ユーザーの反応が想定以上だったという状況でした。そこで、スマホアプリに舵を思いっきり切ったんです。VASILYの会社としての特徴は、やると決めたら思い切って舵を切ってやる所だと思います。
―― 急にアクセスが増えて、システム面では対応は大丈夫だったのですか。
今村 ユーザーの反応を見ながら、システムを毎日拡張していく感じでした。ただし、システムのリソースには余裕がありましたよ。