華やかなファッションの世界。どんな時代でも、女性のファッションに賭ける情熱が衰えることはありません。日本国内の女性向けアパレル市場は、約5兆円程度の規模。インターネットのショッピングサイトを通じた衣服やアクセサリーの販売高は約2000億円に迫っており、年を追うごとに販売高は拡大傾向にあります。

 今回は、女性の関心と購入意欲の高いファッションの分野で注目を集めるスマートフォン(スマホ)のアプリケーション・ソフトウエア(アプリ)の開発ストーリーに迫ってみたいと思います。

 サービス名は「iQON(アイコン)」。オシャレに敏感な20代の女性を中心に人気を集める、女性をよりオシャレにする無料のアプリです。VASILY(ヴァシリー、東京・渋谷区)というベンチャー企業が開発・運営を手掛けています。

月間利用者数200万人のファッションサービス

iPhone版iQONのコーディネート例
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 人気を呼ぶ理由は、このサービスの特徴になっている、ある機能にあります。それは、ユーザーがスマホの画面上で洋服やアクセサリーのコーディネートを作成できるというものです。例えば 「コート」「帽子」「シャツ」「スカート」「バッグ」「ブーツ」といったアイテムを選んで、ファッション雑誌のようなレイアウトで自分好みのファッションコーディネートを作成できます。

 作成したコーディネートは、サービス上で公開することが可能です。自分が作ったコーディネートを自慢することもできますし、ファッション誌を眺めるように他のユーザーが作ったコーディネートを楽しむこともできるわけです。素人によるコーディネートを甘く見るなかれ。投稿したコーディネートは他のユーザーの評価を受けるので、人気は一目瞭然です。多くのユーザーから注目を集めるカリスマ・スタイリストも登場しています。

 現在、1日に2000件を超えるコーディネートがユーザーから投稿され、サービスの月間利用者数数は200万人以上に達しています。多くのファッション系アプリの中で頭一つ抜けた存在感を示しているのです。iQONのユーザーは20代の女性が多く、1日に9回もアプリを開いてサービスにアクセスするユーザーがいるそうです。

 ちょうど、この連載の最初に紹介した「ボケて(bokete)」と同様のユーザー投稿型のサービスです。女性特価型のユーザー投稿サービスという切り口では、化粧品のユーザーコミュニティーを運営する「@コスメ(アットコスメ)」などに近いかもしれません。

 iQONのコーディネート機能の魅力は、選べるアイテム数の多さです。アイテム数は200万点以上に上り、提携先のショッピングサイトに掲載された商品の写真を加えて毎日更新されています。

 ユーザーはスタイリストさながらに、自分のセンスで無数の商品アイテムの中から自分が好きな洋服やアクセサリーを選んで、組み合わせることができます。まさに、ファッション誌の編集者やスタイリストの気持ちになって、自分のコーディネートを作り、公開できるのです。