アクセス記事ランキング(1/27~2/23)
半導体
1 NANDフラッシュメモリー
2 データ検索を100万倍に高速化できるメモリー型コンピューティング技術、ベンチャー企業が開発
3 「スマホにFPGAを載せられたのは、競合の後追いから脱却したから」、Lattice Semicon社長が語る
4 ソニーがルネサス鶴岡工場を買収、総額350億円で積層CMOSセンサーの工場に転換
5 ルネサスの第3四半期決算は230億円の最終黒字、通期では218億円の最終赤字へ
6 あれもこれもクルマに、半導体メーカーが大攻勢
7 3次元IC
8 「当社としてはほぼ初めて」、ルネサスが家電/ヘルスケア機器のHMIに向けた汎用マイコン開発キット
9 半導体装置業界に「3Dのトリプル特需」
10 パナソニックが半導体事業を分社化、海外の後工程子会社3社をOSATへ売却
11 岐路に立つ元祖“世界のデバイス工場”、台湾電子産業12月動向から
12 中央大学、ReRAM/NANDハイブリッド・ストレージの信頼性を高めるコントローラ技術を開発
13 「スマホにTransferJet」、東芝が"超小型"の無線通信モジュールと"極薄"のカプラを開発
14 東芝、ヘルスケア用のウエアラブル・デバイスを小型化できる疑似SoC技術を出展
15 売上高2兆円で利益7000億円のTSMC、今年も業界上回る成長見込む
16 「車載マイコンで2世代以上リード」、ルネサスが28nm向けのフラッシュメモリーIPを開発
17 Micronとソニーの16GビットReRAM、ストレージクラスメモリーへの応用を狙う
18 エルピーダを買収したMicron、「先端メモリの開発には日本人技術者の力が欠かせない」
19 東芝、1Znm世代のNANDフラッシュメモリーを2014年初夏にサンプル出荷へ
20 Mooreの法則、存続の解はEUVリソグラフィしかない

 日経テクノロジーオンラインの半導体関連サイト「半導体デバイス」「半導体製造」「EDA」に投稿された全記事(アナログ、日経BP半導体リサーチ記事を含む)の中から、直近4週間(2014年1月27日~2月23日)で最もアクセス数が多かった記事は、「NANDフラッシュメモリー」でした。

 なぜ今、NANDフラッシュメモリーが注目を集めるのか。それはこの技術が、半導体業界の大転換期を象徴しているからではないでしょうか。NANDフラッシュは過去20年以上にわたり微細化を続けてきましたが、それがいよいよ限界に近づいてきました。このため、メモリーセルを3次元的に積み重ねた3次元NANDフラッシュメモリーへの転換が始まりつつあります。例えば、韓国Samsung Electronics社が2013年8月に量産を開始した3次元NANDフラッシュ「Vertical NAND(V-NAND)」はメモリーセルを24段積層し、2ビット/セル技術と組み合わせて128Gビットのメモリー容量を実現しています(関連記事)。

 デバイス構造を3次元化する動きは、NANDフラッシュメモリー以外のチップでも始まっています。例えば、ランキング7位の「3次元IC」では、論理ICやDRAMなどのチップをTSV(Si貫通ビア)によって3次元接続する技術について紹介しています。NANDフラッシュの場合、ウエハー上に多段のトランジスター層を一括形成できますが、CPUやDRAMではそれが難しいため、チップ同士を積層せざるを得ません。その場合、高密度のパッケージング技術や実装技術が重要になってきます。

 ランキング4位の「ソニーがルネサス鶴岡工場を買収、総額350億円で積層CMOSセンサーの工場に転換」では、かねてから噂のあった国内半導体工場の買収について紹介していますが、実はここにも「3次元」というキーワードが隠れています。ソニーが同工場を買収後に生産するのは、画素チップと論理ICを重ねてTSVでつないだ積層CMOSセンサーだからです。積層CMOSセンサーは、TSVの量産化に成功した数少ない事例の一つ。もともと、裏面照射型のCMOSセンサーは画素チップを極めて薄く加工する必要があるため、TSVの製造工程と整合性が高いといわれています。

 半導体業界における3次元化の動きは、製造装置メーカーや材料メーカーにも大きな影響を及ぼしそうです。ランキング9位の「半導体装置業界に『3Dのトリプル特需』」では、野村證券 グローバル・リサーチ本部 エクイティ・リサーチ部 エレクトロニクス・チーム マネージング・ディレクターの和田木哲哉氏が3次元NANDフラッシュやTSVによって生み出される新たな装置需要について解説しています。

 3次元化の動きと共に、既存技術のままどこまで微細化できるのかという点も見逃せません。東芝は10nm台の第3世代に相当する「1Z(ワンゼット)nm」世代のNANDフラッシュメモリーを市場投入する計画です(ランキング19位の「東芝、1Znm世代のNANDフラッシュメモリーを2014年初夏にサンプル出荷へ」)。Samsung社の3次元NANDフラッシュは現状ではコストが高く、2次元のまま微細化を進めた方が有利との見方があります。また、コントローラ技術の改良によってNANDフラッシュの微細化限界はさらに先に伸びるとの指摘もあります。今後、どこまで微細化が続くのか、どのタイミングで3次元に移行するのか、半導体メーカーの戦略にも注目したいと思います。