東芝の発表資料から
東芝の発表資料から
[画像のクリックで拡大表示]

 東芝は昨日(2014年1月20日)、「第3の柱」と位置付けるヘルスケア事業の戦略について発表し、2015年度に6000億円、2017年度に1兆円の売上高を目指す考えを示しました(関連記事)。同社の具体的な取り組みについては、2014年3月18日に開催する「デジタルヘルス・サミット ~デジタルヘルスの未来2014~」(主催:日経デジタルヘルス)においても講演が予定されています。

 昨日の戦略発表で示されたのは、(1)予防、(2)診断・治療、(3)予後・介護、(4)健康増進、の4分野に渡る幅広い事業を推進していくことです。一方、事業規模としては当面、これまで同社(東芝メディカルシステムズ)が強みを持っていたX線CT装置などの画像診断装置が中心となります。2015年度に目指す売上高6000億円のうち、約5400億円を画像診断装置などの既存事業で見込んでいるようです。

 2017年度の売上高目標である1兆円を実現するためには、言うまでもなく、現行の画像診断装置以外の事業の売り上げを大きく伸ばしていく必要があります。つまり、今回発表した4分野のうち、主に(1)(3)(4)といった“病院の外側”の事業を大きくしていく必要があるわけです。

 一方、筆者は先週、汐留のホテルで開催された富士通の記者懇親会に参加してきました。同社は2013年12月末に「未来医療開発センター」を社長直轄で設立し、2013年度に約1100億円だったヘルスケア関連売上高を、5年間で2000億円にまで伸ばす計画を明らかにしています。

 記者懇親会でのお目当ては、もちろん未来医療開発センターの責任者。無事に、議論を交わす時間をいただくことができました。同センターでは今後、どこで事業拡大を目指していくのか――。返ってきた答えを端的に表現すれば、“病院の外側”ということでした。

 富士通は、電子カルテシステムで高い国内シェアを誇っており、ある意味“病院の内側”に強みを持っています。その企業が、いよいよ“外側”にも乗りだしていこうというわけです。冒頭の東芝と、ある意味同じ構図だと考えています。

 「医工連携」――。医療サービスの担い手である医療現場・医療従事者と、そこに技術を提供する企業(大学/研究機関/技術者・研究者)の連携が必要であることは、このような言葉を用いて久しく叫ばれてきました。

 一方、“病院の外側”へと広がっていく新たな医療の形において、そのサービスの担い手は、医療現場・医療従事者とは限りません。これまで社会の中のさまざまな分野でサービスを手掛けてきた事業者、例えば、住宅や食品、流通業者、フィットネスクラブ、金融・保険など、それぞれの領域で消費者と接点があるサービス事業者が、その担い手なのかもしれません。

 そこで求められるのは、“サ工連携”あるいは“サ医工連携”ともいえるでしょう。日経デジタルヘルスは、「技術×サービス=新産業」という観点を、前述の「デジタルヘルス・サミット」をはじめ、展開していくさまざまな活動の中に盛り込んでいく考えです。