―― 漫画家やイラストレーター? 何を担当しているんですか。
堀江 普通に実験とかをしていますよ、みんな。実験では記録用の写真撮影なんかもありますし。
カシオ計算機の高速連射カメラがありますよね。販売中止になっちゃったので、最近はネットオークションで調達したりしているんですが。600フレーム/秒とかで写真が撮れるので、エンジンの燃焼実験の様子などをハイスピード撮影できるんですよ。だから、どんな職業の人でも結構やることがたくさんあるんです。
―― 参加しているみなさんは、どんなところに魅力を感じているんでしょう?
堀江 もうとにかくロケットが、当たり前のように宇宙に行くような時代をつくりたいと思っているんじゃないですか。多少は思い入れにグラデーションがあると思いますけど、やっぱりみんな好きですよね。
―― すごく楽しそうですね。
堀江 楽しいですよ。今のところ、儲からないですけどね。ロケット開発って、投資してくれる人もいないですし、日本では本当にみんな興味がないですね。
―― 最近は、ものづくりでベンチャー企業を立ち上げた30歳前後の経営者が増えています。彼らに聞くと、堀江さんたちがいたから自分たちがあるという話をしていますよ。
堀江 実は、僕は「ものづくり」という言葉が大嫌いなんです。すみません、本当に。
―― 『日経ものづくり』は、雑誌名にまでなっちゃっているんですけど(笑)。なぜ、嫌いなんですか。
堀江 「ものづくり信仰」みたいなものってありますよね。「ものを作っている人が偉いんだ」と考えている人って、結構いるじゃないですか。
―― 確かに、そういう印象はありますね。
堀江 本来は、職業に貴賤なしでしょう。「何をやっているから偉い」ということはないと思うんです。
商品を売ることや、マーケティング、営業などをすごく軽視しているところがあったりしますよね。特に大手の製造業では。その一方で、「ウチには、こんな技術があるんですけど、何をつくったらいいですかね」というような話をしている。「何を言ってんの」という感じですよ。
僕がロケットを作っている理由の何%かは、そういう流れを変えたいという思いがあるんです。「ものを作っているから偉いと思うなよ」っていう。僕がロケットで実績を出したら、もう何も言えなくなるでしょう。実際にやってみせて、ぐうの音も出ないぐらいに世の中の考え方が変わるといいと思います。
―― 変わった後はどうなるんですか。
堀江 本来はものを作ることが偉いのではなく、「テクノロジーで世界を変えることがかっこいい」のではないでしょうか。そういう世の中の流れをつくりたいですね。技術者という職業がすごくかっこよくて、多くの人が目指したいと思うような社会になるといいと思うんですよ。