―― 堀江さんのチームが開発しているロケットは、いわゆる超小型衛星を載せるんですよね。

堀江 最初のやつは、そうです。もっと大きいロケットの開発に成功できたら、いずれは人間を宇宙空間に到達させたいと思っています。

―― 超小型衛星は、どんな用途に使われるものなんですか。

堀江 例えば宇宙から地球の様子をリアルタイムで動画撮影して送信してくるとか、そういう用途に使うんだと思います。何かの機能に特化した超小型衛星をたくさん打ち上げて、それが新しいサービスを生み出していくイメージです。

 なので、1台のロケットを複数の超小型衛星でシェアして打ち上げる手法はあまり使い勝手がよくないと思います。ロケットをシェアすると同じ軌道にしか打ち上げられないので。多様なサービスを実現するには、サービスごとに適した軌道に打ち上げたいと考えるようになるはずです。だから僕は、1回当たりの打ち上げコストを大幅に減らす取り組みが最も重要だと考えています。

―― 人工衛星の打ち上げに成功したら、その次の目標も考えているわけですよね。

堀江 もちろん、人工衛星を軌道に打ち上げることで満足してはいられません。人間を乗せて宇宙に行くこともそうですし、小惑星や太陽系外を目指すという将来目標はあります。

 ただ、ステップ・バイ・ステップでやっていかないとサステナビリティー(持続可能性)がないので。いきなり有人宇宙飛行を目標にしたら、それを実現するまでに何百億円かかるんだという話になっちゃいます。「そんなお金はないよ」みたいな。

―― ロケット開発で求めている人材像はありますか。

堀江 機械設計ができる人がいるといいですね。電子回路や電波に強い人も。でも、来ないですけどね、中小企業には。

―― そうなんですか。夢がある話ですけれど。

堀江 だってそうじゃないですか? 普段の取材活動で、そう感じませんか。ロケットに興味があるほとんどの技術者は、重工大手やJAXA(宇宙航空研究開発機構)、防衛省に就職しちゃいますよ。僕はずっと中小企業の立ち上げをやってきたので分かりますけど、来ないですよ。

―― でも、来てほしいわけですよね、必要ですよね。

堀江 来てほしいけど、来てくれないですよ。

―― それはどうされるんですか。

堀江 どうするも何も、地道に頑張っていくしかないですね。

―― そんな中でも、来てくれるという人を見つける努力を続けるということですか。

堀江 そうですね、特効薬はないと思いますよ。

―― 今は、どれくらいの人数で開発しているんですか。

堀江 フルタイムが4人で、ボランティアが20人くらいですかね。ボランティアでは、別のところで宇宙開発をしている人が日曜大工でやっていたり、地元で電器屋をやっている人が無線系の開発を手伝ってくれたり、某通信機器メーカーに勤めている人だったり、フリーでiPhoneアプリをつくっている人だったりですね。あとは漫画家とか、ラーメン屋さんとか、イラストレーターとか。

 そういうボランティアで来ているうちの何人かに一人がコミットしてくれて、人数が少しずつ増えてきたという感じです。