連載主旨

かつて聖域と言われたR&D(研究開発)領域のマネジメント改革が、当たり前に取り組まれる時代になっています。しかし、改革にチャレンジしながらも苦戦する企業も増えています。この理由の1つに、R&Dは他の領域に比べて改革事例があまり知られていないため、他社と同じような失敗をしてしまう企業が多いことが考えられます。R&Dの業務は周囲から見えにくい上、マネジメントの考え方や方法が抽象的になりがちなことが、なおさら失敗につながりやすいと言えます。

このような現状を打破するための試みとして、デロイト トーマツ コンサルティング(著者が執筆時に所属)のメンバーがこれまで目のあたりにしてきた改革の失敗事例、成功事例を紹介します。ともすれば事例情報は「考えない人ほど事例をあてにして、表層的に真似をして失敗する」と批判されることもありますが、事例は自分なりに咀嚼すれば貴重な財産になる情報です。本連載では、咀嚼の視点と合わせて事例情報を提供していきます。

新井本 昌宏(にいもと・まさひろ)
PwCコンサルティング合同会社 シニアマネージャー
新井本 昌宏 メーカーにて生産技術、研究開発に従事。その後、複数のコンサルティングファームを経て、2014年10月から現職。現在までに、機械、電機、部品、食品、医薬品などの製造業における新事業開発、技術戦略策定、研究、開発、設計、生産技術、品質保証、プロダクトデザイン領域の業務改革等のコンサルティングを数多く経験。経営から現場までの一貫性と事業と技術の整合性を重視し、短期的な成果の獲得と中長期的に成果を獲得し続ける組織能力向上を同時に支援する。主な著書に「製造業R&Dマネジメントの鉄則」(日刊工業新聞社)、「3D活用でプロセス改革」(日経BP社)、「「仮説」の作り方・活かし方」(日本能率協会マネジメントセンター)など。
渡辺 智宏(わたなべ・ともひろ)
PwCコンサルティング合同会社 シニアマネージャー
渡辺智宏 大手ITベンダーにて業務/組み込みシステム開発、プロジェクト・マネジメント、ソフトウエア技術の研究・開発などに携わる。その後、大手コンサルティング会社を複数経て現職。製造業のR&D領域における業務効率化、事業・技術戦略立案、モジュール化、品質改善、PLM導入などのコンサルティング、セミナーに数多く携わる。主な専門業界は通信・ハイテク、自動車および輸送機器、産業機械、ロボット・FAなど。技術に加えて、マネジメントやビジネスの知見を併せ持つR&D部門への変革を支援する。「製造業R&Dマネジメントの鉄則」(共著、日刊工業新聞社)、「3D活用でプロセス改革」(共著、日経BP社)など、著作・連載多数。