ホンダが2013年に発売した「フィット」のハイブリッド車で、早くも3回目のリコールがありました。1回目は、2013年10月に起きたDCT(Dual Clutch Transmission)のECU(電子制御ユニット)のプログラムに不具合があり、モータ走行モードでドグとスリーブがかみ合わず走行できなくなる恐れがあるというもの。

 2回目は12月に発覚した、エンジンECUや変速機ECUにおけるプログラム不具合によって、エンジンがストールしたり、駐車状態から起動しなくなる恐れがあるものです。そして、最後は2014年2月に発表された、1速歯車のハブ上をスリーブが滑らかに動かず、1速がかみ合わなかったり、突然発進する可能性があるというものでした。

 最後のリコールはフィットだけでなく、小型SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)の「ベゼル」も含まれており、対象車種は3回の合計で12万2336台にも上ります。フィットの販売が好調であったために、対象車も多いという結果になりました。

 このうち、最後の1件を除き、いずれもECU内のプログラムが原因です。フィットに採用したDCTのハイブリッドシステム「i-DCD」をはじめ、一気に3種類のハイブリッドシステムを新開発し、燃費を徹底的に高めたホンダですが、クラッチ、変速と複雑な制御が求められるDCTの制御プログラムの検証体制が不十分であった可能性があります。

 開発段階で最も時間がかかるのは、品質を100%まで高めるための最後の工程です。かつてデンソーでオートワイパーを開発した寺倉修氏(技術支援会社のワールドテック社長)によれば、「品質の99%はまだ開発の5合目レベル。最後の1~2%を詰めるのに膨大な工数とエネルギーが必要」といいます。同じ新開発のハイブリッドシステムでも「アコード」の2モータシステム「i-MMD」ではリコールは起こっていません。両者の開発プロセスで何が違ったのか、しっかりと解明してもらいたいものです。