図3 調色してさまざまな雰囲気を演出する洋服店用の鏡(「Light+Building 2012」での展示)。

 調光・調色機能を備える洋服店の鏡も好例です(図3)。実際に服を着る場面の色を再現することで購入時の安心感を高める狙いがあります。「夕方のパーティ」「会議室でのミーティング」「太陽の降り注ぐ屋外」など具体的な場面の光を用意していました。

図4 交通量に連動して明るさを調整する街路灯(「Light+Building 2012」での展示)。

 アイリスオーヤマとの提携の範囲内である屋外照明や産業用照明の分野では、交通量に連動して明るさを調整する街路灯が目を引きました(図4)。LED化が進んでいる街路灯にインターネット網を活用した制御技術を搭載するシステムです。道路の交通量や時間、イベント、天気などに応じて点灯する街路灯の数や光の強さを中央監視システムで制御できるようにしたのです。

照明事業で1兆円

 このように“価値”の提供を主軸に据えるPhilips社は、2013年の照明事業で84億ユーロ(1ユーロ=140円換算で1兆1760億円)を売り上げました。約4万6000人の社員を抱え、売り上げの5%は毎年研究開発に投資しているそうです。

 Philips社のSchell氏は「今後照明はアナログからデジタルにさらに加速していく。我々は、研究開発を充実させて照明のデジタル革命を進めていく」と語気を強めます。アイリスオーヤマとの提携事業では、「LEDだけにこだわらず、必要があれば有機EL照明も導入する」(Schell氏)考えです。

 世界に先駆けて変化する日本の照明市場。1兆円を超える売り上げをたたき出す照明最大手の挑戦は、照明市場の将来動向を占う試金石となりそうです。