「光は人を動かす力を持っている」――。

 発言の主は、オランダPhilips Lighting社で業務用の照明事業を統括するMarc de Jong氏(当時・同社 Executive Vice President、CEO BG Professional Lighting Solutions)。照明・建築技術の展示会として世界最大規模の「Light+Building 2012」(ドイツ・フランクフルト、2012年4月15~20日)での取材の一コマです( 日経エレクトロニクスの関連記事)。Jong氏は、照明の明るさや色を調整することで人々の気持ちや行動を変えられることを強く訴えかけてきました。

4種類の雰囲気を作り出す

 実際、Light+Building 2012では光が持つ力をうまく利用して生産性を向上させたり快適性を高めたりする“知的”な照明の提案が幾つもありました。2年間と少し古い情報ですが、Philips社の展示内容を紹介します。

図2 「Light+Building 2012」でのPhilips社のブース。天井のLED電球と壁面のLED照明パネルで照明の色や明るさを調整していた。

 高付加価値の照明で象徴的だったのが、ミーティングルームやレストランをイメージした展示でした(図2)。照明の色や明るさを変えることで4種類の雰囲気を作りだすことができます。

 例えば、限られた時間で集中して議論したい場合には、明るく高色温度で寒色系の設定にします。逆に、和やかな雰囲気でゆっくりと話し合いたい時は、少し暗めで暖色系にするといった具合です。照明の明るさや色の変更は、天井から吊り下げた数百個のLED電球と、壁面に取り付けたLED照明パネルで実施し、オン/オフだけでなく細かく明るさを調整していました。