電力需要のピークに合った発電量

 オースチンにある、屋根に太陽光パネルを設置している住宅52棟のデータを分析した結果、西向きの太陽光パネルの方が南向きのものより、系統電力網にかかる負担が少なくなる。  

 例えば、夏期の電力需要ピーク時間帯である午後3時から午後7時の間、西向きの太陽光パネルの方が南向きのパネルより49%も発電量が多く、住宅の電力消費量のカーブにより近いカーブを描く(図2)。それだけピーク時間帯に系統から供給する電力は少なくてもいいことになる。

図2 西向きの太陽光パネルの発電量が南向きに比べて家庭における電力消費のピーク時間帯により近い
青い線が南向きパネル、黄色い線が西向きの太陽光パネルの発電量を示す。グレーの線が家庭の電力消費量。夏期のデータをプロットした(出典:米Pecan Street)
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 「電力サービスの信頼性を向上するには、屋根に設置する太陽光パネルが住宅の設備の中で最も効果的であることが分かった。消費者に生活スタイルを変えてもらったり、快適性を犠牲にしたりすることなく、夏期のピークカットができる」と同プロジェクト責任者であるPecan Street CEO Brewster McCracken氏は語る。  

 電力需要のピーク値の低下率でも、西向きの太陽光パネルが有利になる。南向きパネルを設置した住宅が54%であるのに対して、西向きパネルは65%だった。住宅の電力消費量の約3分の1を太陽光発電によって賄えるが、特に西向きにすることで効果が上がる。

 「これはテキサス州に当てはまることであり、他の地域に当てはまるとは限らない」(同氏)。もっと北に位置する地域であれば、風力やバイオマスなど太陽光より適した再生可能エネルギーがあるかもしれない。電力ピークの時間帯も異なるだろう。消費者の行動を分析し、その地域にあった省エネ方法を見つけることが重要である。