縁側につながるネットワーク

 まずブランドですが、多くの方がブランドと聞いて思い浮かぶのは高級ブランド製品ではないでしょうか。しかしここではブランドを「信頼と差別化をもたらすもの」として定義し、広く捉えていきたいと思います。また一般にブランドとはB2Cビジネスにおける商品で広く用いられていますが、新しくビジネスを起こす場合にこれをどのように捉えていけばよいのかを考えてみたいと思います。

 同じくデザインも単に意匠という意味だけでなく、文化や生活を背景とした人々の行動様式や機能までを含み、新しい生活をもたらし、それが最終的には文化にまで変化を与えるものとして広く捉えていきます。

 さらにネットワークに関しても、インターネットサービスやものとしての製品やサービスの連携だけではなく、それらのビジネスを生み出す「人」や「組織」の関わり合いとしてのネットワーク性までを含む広義の意味を考えていきます。この広義のネットワーク性は、私が提唱する提言3におけるの「縁側」につながっていきます。

 米Googleの社内における時間の20%を自分の担当業務以外の関心がある分野に使うという20%ルールや新しいアイデアを選別し共有する社内のさまざまな制度、システム もこうしたネットワーク性を重視したものとなっているのは言うまでもないでしょう。

 これからの私のコラムでは、これら三つのポイントも考え方の一つの軸として取り入れていきたいと考えています。これまでのものづくりでは「よいものは売れる」という考え方や「よいものとは高機能」という考え方に縛られて、ことづくりの側面がなおざりにされてきたと感じているからです。