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第22回 変調のはなし(2)

佐々木 勇治=サイレックス・テクノロジー
2014/02/07 00:00
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 IEEE802.11a/g以降の無線LANではOFDMという技術が使われています。OFDMとは「Orthogonal Frequency-Division Multiplexing」の略で、日本語では直交周波数分割多重変調と訳されます。とはいえ、これでは何のことだか分かりません。書籍やネットの解説を読んでも、すぐに難しそうな数式が出てきて頭がオーバーフローしてしまいます。今回はこの OFDM をなるべく平易に解説してみます。

マルチキャリア伝送

 OFDMは複数の搬送波に複数の情報を乗せて一気に送る「マルチキャリア伝送」の一方式です。複数の搬送波を使えばそれだけ多くの情報を送れるのは当たり前の話で、原理的に言えばいかなる変調方式でもマルチキャリア化することは可能です。例えば2.4GHzと5GHzの周波数に2系統の情報を同時に送信し、受信側でもそれを同時に受信すれば単一周波数より2倍の情報が送れることは直感的に理解できるでしょう注1)。  しかし、離れた周波数を同時に送受信するためには送受信器とアンテナのセットが周波数の数だけ必要になってコスト高を招きます。また複数の周波数を同時に使うことは、例えばTVのチャネルを複数まとめて1本の番組を放送するようなもので、リンク1本あたりの情報量は増えるかわりに同時に存在できるリンクの数は少なくなってしまいます。

注1)前回は2種類の周波数を切り替えて情報を伝達する FSK を説明しましたが、2種類(あるいはそれ以上)の搬送周波数を使用しても、ある単位時間に1種類の電波しか出さないFSKはマルチキャリア伝送には分類されません。むしろ周波数拡散方式の1形式と考えられます。マルチキャリア伝送は複数周波数の電波を「同時に」送受信する方式です。

 OFDMの特長は、狭い周波数帯に複数の搬送波を詰めこんで送信できること、つまり占有周波数帯域をそれほど肥大化させることなくマルチキャリア化できることです。限られた占有周波数帯域に情報を詰め込めるということは、部品点数でもチャネル占有数でも最小のコストで最大の効果(=転送速度)が狙えることを意味します。

 ここで注意してほしいのは、前回解説したQAM(直角位相振幅)変調とOFDM(直交周波数分割多重)変調に直接の関係はないということです。QAM はコンスタレーションが格子状になり、見た目がいかにも「直交」という印象を与えるため「QAM = 直交変調」だと勘違いすることが少なくないのですが、OFDMにおける「直交」というのは二つの方程式が合成・分離できる数学的性質を意味するもので、位相図にプロットしたとき直角になるという意味ではないのです。

 OFDMは搬送波の束ね方の1方式なので、搬送波1本当たりの変調方式(「1次変調」 とも呼ばれます)は規定しません。これには前回解説したBPSK、QPSK、QAMなどが用いられます。OOKとOFDMを組み合わせることだって原理的には可能ですが、さすがに伝送効率が悪いため実用例はないと思います。またFSKは周波数がブレてしまうのでOFDMとは相性が悪く使われません。

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