米Google社が32億米ドルでインテリジェント家電製品メーカーの米Nest社を買収した。このニュースがシリコンバレーに大きな反響を呼んでいる。まず、買収額にビックリした人たちが多いこと。約300人の社員から構成されるNest社の32億米ドルという買収額は、Google社が2012年に買収した米Motorola Mobility社の125億米ドルの約1/4にも達する。

 確実に言えるのは、Nest社買収の目的は組み込み機器にインターネット接続機能を追加するInternet of Things(IoT)への布石であることだ。しばらくの間、シリコンバレーのベンチャー投資家は主にソフトウエアやソフトウエアを採用するサービス関係のベンチャー企業に注目していた。だが、今後はIoT関連のベンチャー企業への投資金額が拡大するだろう。あるシリコンバレーのベンチャー投資家は、「『ハードウエア』は新しいソフトウエアだ」とTwitterにポストして、今後のハードウエア分野への期待を示した。ハードウエア設計の経験がある技術者は、しばらく仕事に困らないだろう。

Nest社のサーモスタット製品
Nest社のサーモスタット製品

 Nest社のサーモスタット製品は、省エネに繋がるので、同社がクリーンテック分野にも参入できた。2000年の中ごろにクリーンテック関連のベンチャー企業への投資が盛んだったが、大きな損をしたベンチャー投資家も多く、ベンチャー投資家の間ではクリーンテック分野への興味が下落している。Nest社の買収により、クリーンテック分野の人気の再浮上もあるかもしれないが、太陽光発電や風力発電機などの物理的な製品を手がけているクリーンテックのベンチャー企業には、さほど影響しないだろう。Nest社の省エネ機能はサーモスタットから発生したデータを分析して、家庭で消費するエネルギーを削減することができる。ビッグデータ関連のソフトウエアに関わるクリーンテックのベンチャー企業に注目が集まるだろう。