JCIのロゴマーク
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 最近、米国に本部がある国際医療機関認証であるJCI(Joint Commission International)の認証を取りたいという病院が増えてきた。日本国内では現在、亀田総合病院とNTT東関東病院の2病院が認証を受けている。秋口から今年度末に向けて、さらにいくつかの病院が認証を取ることが予想されている。

 また、避けられない国際化の流れにのっとり、メディカルツーリズム(公には使われない用語)というか医療観光(観光庁)なのか国際医療交流(厚生労働省)というのかは別にして、東日本大震災以降一度止まっていた、外国人の訪日という動きが出てきた。これは、人の国際移動が閉鎖的な日本であっても、起きている以上避けられない。例えば、政府観光局の推計では、2012年4月の訪日外国人は78万800人だった。東日本大震災直後の2011年4月と比べると163.9%増と大幅な持ち直しで、震災前10年4月との比較では0.9%減と同水準まで回復した。

JCIの認証のメリット

 日本の医療機関が国際認証機関のJCIで認証をうけるメリットは何か? 米国の場合には、保険の支払いに関連がある。しかし、米国以外の病院がJCIの認証を受けても、米国の病院とは異なり、保険会社から受ける直接のメリットは少ない。強いて言えば、メディカルツーリズムにおいて米国保険者が、タイやシンガポールなどの病院を紹介するときにメリットがあるくらいであろうか。

 このメリットは日本でも同じであるが、日本が中国やロシアの患者をターゲットとしているとすると、米国保険者からの患者紹介というメリットはあまり多くないであろう。韓国のように多くの病院がメディカルツーリズムを志向している国でも、JCI認証が患者の増加や、欧米の保険会社との提携に、すぐにつながるというわけでもなさそうである。

 JCIの親組織であるTJC(the joint commission)の米国内認証が、保険者へのメリット追求、質改善、および業界のスタンダードといった趣が強いのに比べ、JCIの認証は差異化の意味が強い。すなわちJCI認証は、消費者あるいは患者に対して病院のブランド化という意味があるのだ。つまり、JCIの認証の意味は、質改善と同時に消費者や患者への直接アピールにあるのである。

 つまり、メリットはむしろ消費者や患者との関係にある。すなわち、海外に住む米国人であれば、国内と同じ認証を受けている医療機関を選ぶであろうし、米国企業もそういった医療機関との提携によって海外赴任の従業員へのメリットを考えるであろう。これは結果的に、保険会社がJCI認証機関との提携を選ぶことになるかもしれない。また、JCIは患者安全や医療の質の向上という目的の役にも立ち、医療の質を高めることになる。そして病院のブランド力がつき、患者が増えるというわけである。