「30分遅れます」は何分待つの?経済学、佐々木一寿著、新書、203ページ、893円(税込)、日本経済新聞出版社 、2012年12月
「30分遅れます」は何分待つの?経済学、佐々木一寿著、新書、203ページ、893円(税込)、日本経済新聞出版社 、2012年12月
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 私たち技術者のほとんどは「実業」の世界に生きている。研究であれ、設計であれ、製造であれ、技術者が頑張った成果は新しい技術、新しい製品、新しいサービスとなって世の中に提供されていく。

 そんな技術者から見ると、世の中の役に立っていない学問がたくさんある。言っちゃあ悪いが、○○学も、□□学も学者のお遊びだし、リーマンショックも不況も解決できない経済学なんて何のためにあるのか分からない。

 本書の著者、佐々木氏も、かつて「経済学なんて何の役にも立たない」と思っていた。思ってはいたがなぜか経済学が好きで、出版社に入ってからも経済分野の多くの関係者に取材するなかで、ますます「好き」の度合いが強くなっていく。

 その佐々木氏の目から見ると、最近の経済学は、すごく頑張っている。世の中で実際に起こる複雑な現象、難しい現実に立ちむかい、なぜそうなっているのかを解析し、新しい理論を立て、検証して対処法を提案し続けているそうだ。経済学の動向を追いつづけてきた著者から見れば、難敵を攻略しようとする格闘家集団のようであり、難病に挑む医療チームのようにも見え、感動のあまり泣きそうになることもある、とのこと。