図1●Flash Memory Summit 2013においてSamsung社が発表した、3次元NANDフラッシュメモリー「V-NAND」のチップ写真とメモリーセル断面写真
図1●Flash Memory Summit 2013においてSamsung社が発表した、3次元NANDフラッシュメモリー「V-NAND」のチップ写真とメモリーセル断面写真
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 スマートフォンやタブレット端末などのモバイル機器の記憶媒体を一手に担い、サーバー機などでもHDDから主役の座を奪いつつある半導体デバイス。それがNANDフラッシュメモリーである。このデバイスは今、技術進化の大転換期を迎えている。過去20年以上にわたり大容量化と低コスト化を牽引してきた微細化技術に、いよいよ限界が迫っているのだ。NANDフラッシュメモリーは、論理LSIやDRAMなどを含むあらゆる半導体の中で、最も微細化が進んでいる。その結果、いち早く微細化の限界に直面しているというわけである。

 従来のNANDフラッシュメモリーは、電子を蓄積するメモリーセルの寸法を平面(2次元)方向に縮小する方法で、大容量化と低コスト化を進めてきた。現在、メモリーセルの最小加工寸法は16nm世代まで縮小されている。ところがこれ以上微細化しようとすると、製造コスト(リソグラフィ・コスト)の高騰により容量当たりの単価(ビット単価)が下がらないことに加えて、物理的な限界からメモリーセルが安定に動作しなくなるとされる。

 こうした技術限界を乗り越え、NANDフラッシュメモリーの大容量化と低コスト化を継続する手段になると期待されているのが、3次元NANDフラッシュメモリーである(図1)。この技術は今、まさに実用化を間近に控えている。