グリッドパリティ前提のモデル模索

 2012年7月に再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)が施行されたことよって、現在、国内各地にメガソーラーが続々と建設され、稼働し始めている。コスト競争力に劣る再生可能エネルギーの普及を促すため、法律によって20年間、割高な価格で買い取るという枠組みを作り、事業性を確保している。

 だが、同白書によると、太陽光発電に関しては、2017年~2020年にはグリッドパリティに達するという。もともとFITの政策的な狙いは、“官製市場”によって再生可能エネルギーを大量に導入し、発電設備の量産効果によってコストを下げて自立的に成長できる競争力を付けさせることにある。太陽光発電に関しては、多くの国々でFITを導入した結果、太陽光パネルなどシステム価格が下落し、こうした政策目的が達成されつつある。

 FIT導入で先行し、太陽光発電のコストが日本より下がっている欧州などでは、すでにFIT後をにらんだ太陽光発電事業のビジネスモデル、具体的には「グリッドパリティモデル」の模索が始まっている。

 法的枠組みを前提にした「FITモデル」は、発電した電力を電力会社の送配電網に流して売電することだったのに対し、「グリッドパリティモデル」は、FITによる買い取り価格が安くなっていることを前提に、太陽光発電電力を優先的に自社設備で使うことを想定する。

 その際に課題になるのが、出力変動の大きい太陽光の電力をいかに平準化しつつ、需要と一致させるか、という電力システムとしての需給管理の技術やノウハウになる。