固定価格買い取り制度(FIT:フィード・イン・タリフ)の施行によって、全国でメガソーラー(大規模太陽光発電所)の建設・稼働が進んでいる。一方、FIT先進国の欧州や国内の先進メーカーは、FIT後をにらみ、太陽光発電のビジネスモデル構築に取り組んでいる。太陽光の発電コストが低下してきたことを受け、発電コストが購入電力より安い「グリッドパリティ」を前提にしたビジネスモデルだ。出力変動のある電力をいかに使いこなすかが課題になる。(日経BPクリーンテック研究所)

 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は2013年12月10日、「NEDO再生可能エネルギー技術白書」の改訂版を公開した。太陽光発電についての記述を見ると、日本の太陽光発電の発電コストは、住宅用システムで1kWh(キロワット時)当たり33.4~38.3円、メガソーラー(大規模太陽光発電所)では同30.1~45.8円と算出している。

写真1 大分県大分市で稼働した26.5MWのメガソーラー
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 この数字は、世界の発電コストの水準である、住宅用の同18.2~36.5円、メガソーラーの同15.0~29.9円と比較して、依然として高い。ただ、白書では今後の見通しに関して、電力会社の電力料金単価を下回る「グリッドパリティ」の達成は間近だとしている。

 住宅システムに関しては、2017年ごろには、家庭向けの電力料金単価(1kWh当たり23円)に達すると予測する。メガソーラーなど非住宅用に関しても、現在のコストダウン基調に、技術革新を加味することで、2020年ごろには、業務用の電力料金単価(同14円)と同水準のコストを達成する見込みという。