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2012/09/21 21:01
久保田 博南=ケイ・アンド・ケイジャパン 代表取締役社長(医工連携推進機構 理事)

 隣国である韓国には、「医療機器法」なる法律が存在している。

 その事実を聞いて、驚く人は多いかもしれない。加えて、制定年度が2003年だと知れば2度ビックリ、ということになるだろう。

「開発」と「規制」を一体で展開

 さらに驚くことがある。「2003年に制定」と述べたが、実は、「薬事法」から「医療機器法」を独立させたというのが、正確な表現だ。つまり、今の日本ですったもんだしながら、ようやく本格化し始めた議論(関連記事)を、今から約10年も前に成し遂げてしまったのである。

窪田
韓国の「シリコンバレー」

 なぜそんなことが可能だったのか。その疑問の答えとなりそうな事実を、筆者は現地で垣間見ることができた。ちょうど2年ほど前の、2010年10月のことだ。

 ソウルから車で高速を走り約2時間半。特区となっている原州(Wonju)がある。そこに、韓国政府の肝入りで10数年前に設立された医薬品・医療機器産業の拠点(Wonju MediPolis)がある。大学・研究機関や病院などの関連施設も多く誘致されている。

窪田
現在進行形のWonju MediPolis

 この拠点の立ち上げには、日本の関係機関も支援を行ってきた。医療機器産業となれば、日本のほうが先行していたからだ。しかしながら、いざフタをあけてみれば、拠点形成は国を挙げて急ピッチで進行した。「韓国のシリコンバレー」とも呼ばれ、産官学が一体となったプロジェクトが現在でも進行中である。

 医療機器法は、こうした国を挙げてのプロジェクトの一環として制定されたものだろうと推測できる。「開発」と「規制」の両輪を、同時進行で展開したのだ。

ゼロからのスタートが奏功

 韓国で医療機器法を制定する際には、以下の三つの考え方がベースにあった。

(1)医薬品主体の薬事法で医療機器を規制するには限界がある
(2)国際整合が必要な時代に、迅速に対応したい
(3)医療機器産業の活性化と国際競争力の強化

 至極まともな考え方である。当時、医療機器産業がそれほど活発でなかった韓国にとっては、ゼロからの出発でしかなかった。幸か不幸か、既成概念が存在しなければ、一からスタートすれば良いわけで、まともな考え方に基づき医療機器法というものをすんなりと作り上げたのだ。

隣国に学ぶべきことも少なくない

 一方、日本では、2005年4月に薬事法改正を実施した際、こうした隣国の状況など全く無視していた節がある。あくまで薬事法の中で医療機器を制約しようという考え方が定着してした。

 韓国が先行した考え方のうち、特に前述の(3)は重要である。この思想の欠如が、現在の我が国の薬事法の欠点ともなっている。具体例を挙げるなら、2005年の「医療機器製造販売業」の導入は新規参入の障害になり、「活性化」や「競争力アップ」には大きな妨げになっていることを指摘せざるを得ない。

 もちろん、「韓国の医療機器法がベストだ」などと言うつもりはない。しかし、良い点は学べばいい。日本が医療機器先進国だと勘違いしているうちに、世界はどんどん先に行ってしまう。

日経デジタルヘルス Special

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