日本では成人の日の三連休も終わってお屠蘇気分もすっかり抜け、本格的に2014年がスタート、というところだろう。一方、私のいる中国では1月31日の春節(旧正月)に向け、年の瀬の気分がようやく盛り上がってきたところだ。

 春節前のこの時期、EMS(電子機器受託製造サービス)/ODM(Original Design Manufacturer)業界では、中国の春節商戦に向けたテレビやスマートフォンの製造も一部の人気商品を除いて一段落する。このため、業界の様子を伝える中国や台湾のメディアも、中国の生産拠点で働くワーカーたちが帰省を前にそわそわし出しているとか、工場の採用担当者が休暇明けの人手の確保に頭を巡らせているという類いの記事が増え、話題の新製品の受注動向などといった目ぼしい記事が出るのは春節明け、というのが常だ。

 ところが今年は年明け早々、米Apple社のスマートフォン「iPhone」の2014年モデルの受注をめぐるうわさが出た。iPhoneの話題といえば例年であれば、EMS世界最大手の台湾Hon Hai Precision Industry社〔鴻海精密工業、通称:Foxconn(フォックスコン)〕を中心にした情報がほとんどだったのだが、今年はいささか趣が異なる。今年第1弾の観測の主役は、筐体業者の台湾Catcher Technology社(可成)である。

 Catcher Technology社は2013年12月25日、中国江蘇省の宿遷工場に総額1億米ドルに上る増資を決定。年が明けた1月8日には、宿遷工場用の設備購入に16億4400万台湾ドル(1台湾ドル=約3.5円)を投じることを明らかにした。