2013年12月中旬に、米サンフランシスコ市で自動車業界向けアプリに関するイベント「Content and Apps for Automotive USA 2013」が開かれた。このイベントに集まった自動車業界とコンテンツ業界の人たちに話を聞くと、自動車業界がスマホや自動車専用アプリに、どう対応すべきか悩みが続いているようだった。

 このイベントの背景には、自動車業界がインフォティーンメント・システムを使ってインターネットからのコンテンツを活用したいと考えている面が見え隠れする。以前に米Toyota Motor Sales社に勤めた経験がある米Gracenote社、Product Management – Automotive、Senior DirectorのMichael Becker氏によると、自動車業界ではコンテンツやアプリをどのように自動車に対応させるかを約15年間にわたって話題にしてきたという。「今なら自動車の信頼性が、どのメーカーでもほぼ同等になっているので、次の競争点は電子技術になる」(Becker氏)。しかも、スマホのOSやアプリの信頼性も向上し、自動車業界が採用するレベルに達しているという。

* インフォティーンメントとは、information(情報)とentertainment(娯楽)を組み合わせた造語で、情報と娯楽を融合したものという意味。特に自動車業界でよく使われる。情報を得ることそのものが楽しみになるような番組やサービスなどが考えられている。

 しかし、インターネットのアプリやコンテンツを自動車に対応させる技術に、業界がまだ悩んでいることも明らかだ。自動車自体で対応するか、スマホを自動車に接続させるのかは悩みどころで、議論が続いている。まだ決定ではないが、技術の進化が早いし、自動車のインフォティーンメント・システムよりもコンピューティング能力が高いので、スマホ上で動作するアプリに対応する動きの方が強いと、筆者は感じた。

米Honda社のNew Business Development、ManagerのCharles Koch氏
米Honda社のNew Business Development、ManagerのCharles Koch氏
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 でも、これには悩みがまだ多い。米Honda Motor社、New Business Development、ManagerのCharles Koch氏は、同社のインフォティーンメント・システム「HondaLink」(Webサイト)の次世代バージョンの構想をプレゼンした。そこではHondaLinkにはSiriを対応させ、iOS端末を音声で操作する。そしてHonda社は自動車のディスプレーにコンテンツを表示できる自社ブランドのiOS専用ナビ・アプリを提供する。ただし、Android対応スマホ向けには、「『MirrorLink』(Webサイト)に対応したスマホが市場に流れるまで待つ」(Koch氏)必要がある。

Honda社の車載ディスプレーに表示されたスマホのカーナビアプリ
Honda社の車載ディスプレーに表示されたスマホのカーナビアプリ
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