Tech-On!では恒例の年末特集「専門記者が振り返る2013年」を連載中です。この連載は日経エレクトロニクスや日経ものづくり、日経Automotive Technology、Tech-On!の専門記者・デスクが、それぞれの視点で2013年を総括しています。「専門記者やデスクが振り返るのに、編集長は何もしないの?」と疑問を持たれるかもしれません。そうしたご期待(?)に応え、私は本コラムにて日経エレクトロニクスのこの1年を振り返ってみます。

 日経エレクトロニクスでは毎号、読者アンケートを実施しています。各記事について「閲読したか」「参考になったか」などを回答していただき、読者の皆さんの反応を数値化して読まれた記事(だけでなく、読まれなかった記事)の把握に努めています。ここでは、読者評価が高かったトップ10の記事をカウントダウン形式で紹介します。なお、2013年12月9日号と同23日号の読者アンケートの集計は本記事の執筆に間に合わなかったので、1月7号から11月25日号までの記事で読者アンケートを集計した結果を基にトップ10を算出しました。

 では、第10位から第6位まで一気に紹介します。

第10位 「円安に救われた第1四半期、家電復活への道筋は見えず」
     (8月19日号 NEレポート)

第9位 「パナソニックが中期計画発表、見えないV字回復への道筋」
     (4月15日号 NEレポート)

第8位 「パナソニックとソニー、4K有機ELテレビを開発へ」
     (1月21日号 NEレポート)

第7位 「iPhone 5s/5cを分解、中身は驚くほど似た設計」
     (10月28日号 インサイド)

第6位 「すべてがEthernet一色に」
     (9月2日号 特集)

 日経エレクトロニクスは決算や中期経営計画といった記事を定期的に掲載しており、読者の関心度も高い傾向にあります。第10位と第9位の記事は、こうした傾向が垣間見えた形です。2013年は「アベノミクス」効果によって、日本は徐々にではありますが景気回復傾向にあります。日本のエレクトロニクス企業を苦しめてきた円高も是正され、業績も上向いてきました。

 ただし、本格的に回復するには“強い商品やサービス”が必須なことは、多くの読者にとって共通認識でしょう。第9位の記事に、こうした傾向が現れているといえます。第8位の記事も、強い商品に育つかどうかへの関心から注目を集めたとみています。この記事は、2013年の「International CES」でパナソニックとソニーがそれぞれ発表した大型有機ELテレビを取り上げたものです。4K×2K映像を表示できるのが特徴で、大型有機ELテレビの開発で世界を席巻してきた韓国Samsung Electronics社や韓国LG Electronics社を慌てさせたようです。

 第7位は、日経エレクトロニクスが得意とする分解・分析記事です。登場間もない米Apple社の「iPhone 5s/5c」を分解し、中身を分析することで設計思想を探ってみました。この分解・分析記事は2号連続で掲載し、搭載部品の構成や筐体などを分析した前編がトップ10入りしました。11月11日号に掲載した後編はトップ10入りを果たせませんでしたが、iPhone 5sの中核部品であるアプリケーション・プロセサ「A7」とコプロセサ「M7」の回路構成などチップ内部を分析した内容を高く評価する意見が弊誌編集部に寄せられました。

 第6位は、Ethernetに関する特集記事です。「何で今ごろEthernetを取り上げるのか?」と思われた方もいらっしゃったかと思います。確かに、情報系でEthernetは当たり前の技術ですが、制御系ではこれからという状況です。特集は、Ethernetが制御系までつかさどるようになる背景やインパクトをまとめるとともに、Ethernet活用の動きを自動車と鉄道、工場のそれぞれ個別の状況に着目して解説しました。現在進行形のテーマですので、2014年も継続して取材活動と情報発信に務める所存です。