もう年末ですね。今年もこのコラムを読んで下さり、ありがとうございます。2013年は日本の半導体産業にとって、明暗がはっきり分かれた一年でした。

 東芝はフラッシュメモリを主力とする電子デバイス部門が好調で、2013年4~9月期に営業利益は過去最高の1137億円を達成。ソニーのイメージセンサー事業も好調で、苦境に陥るルネサスエレクトロニクスの鶴岡工場の買収に手を上げているとも報道されています(関連URL)。

 その一方、システムLSIはどの企業も厳しい状況。ルネサスエレクトロニクス、パナソニック、富士通セミコンダクターと、事業の切り離しや工場の売却、人員の削減が相次いでいます。

 日本では厳しい経営状態が続くシステムLSI事業でも、世界を見回すと全く異なる景色が見えてきます。Appleは自社のスマートフォンやタブレットに向けてCPUを社内で設計していますし、巨大なデータセンターを運営するGoogleも、サーバーに搭載するCPUを自社で設計することを検討しているとも報道されています(関連URL)。

 AppleやGoogleは自社のサービスや製品の競争力を高めるためには、半導体の設計を自ら手掛ける必要があると判断しているのでしょう。このように半導体のユーザー企業が半導体事業に積極的に乗り出すケースは海外企業に留まりません。

 車の電子化に伴い、車一台に搭載される制御用半導体、車載用電子制御ユニット(ECU)の数は増加し、100個を超える場合も出てきました。その結果、大規模なリストラを行うルネサスの技術者が、車関連メーカーに転職することが増えているようです。車向け電装品メーカー大手のデンソーが東京都内に車載半導体回路の設計開発拠点を設置する(関連URL)というのも、車において半導体の重要性が増している一つの表れでしょう。