それぞれの企業がそれぞれに合った3D活用手法を

 「欧米のPLMベンダーの手法は、考え方は先端ですが、手段は古い方法だと言えるでしょう。これに対して、XVLのように言葉を共通にすれば、各部署が別の道具を持っても全体最適を進めることができるのです。ツバメックスでは、このような考え方でシステム化を進めていく計画です」。これは全社に3D情報の流れをつくろうというXVLパイプラインの考え方と一致する。

 荒井氏の次の目標は、同社流の3D活用を取引先にも拡大することである。同社での成功を協力会社にも広げようというのだ。加工の外注先に3Dデータを事前に渡しておくことで段取りの手間が減るだろうし、顧客に3Dデータを見せておけば検図がスピーディーになる。社内外での3Dデータ活用で、同社は、着々と「超短納期」という武器を手に入れようとしている。

 ツバメックスの取り組みは、試行錯誤を重ねたこともあって、ここまで来るのに11年を要したという。しかし、既に3D全社活用が現場を含めて実現可能なことを、同社は証明した。この「既に起こった未来」を参考に、企業はそれぞれの企業に合った形で、3D活用手法をより短期間に構築できるはずである。

 ITの支援により3Dで見る文化を醸成し成熟させていくことで、「超短納期」といった独自の強みを持つことができるのだ。このような強みは企業文化に根差すものであり、新興国にも簡単には真似されないだろう。グローバル競争を生き抜く上で同じ悩みを持つ企業ならば、注目してよいポイントなのではないだろうか。