見たい情報を見たい人が即座に引き出せる仕組み

 「軽量3DフォーマットXVL×iPadのものづくり現場活用」のビデオで紹介したのは、AppStoreからダウンロード可能な無償ソフトウエア「iXVL Player」である(詳細は 「iXVLプロダクト情報ページ」)。製造現場ではパソコンのマウスやキーボードが邪魔になるが、iPadであれば手軽だ。映像からも分かるように指先で自在に3Dを操れるので初心者にも好評である。これまで情報はパソコンルームに取りに行くものだったが、今や現場に持ち出すことができるようになった。現地現物をITで支援できる時代なのである。このように、同社における超短納期の実現に、3Dデータの徹底した活用が大きく貢献している。

 金型製造に必要なすべての情報を一括して管理するのがポータルである(図2)。CADでソリッド設計が終わりデータをポータルに登録すると、自動的に軽量XVLに変換されて、金型の工番と紐付けられる。現場の人が見たいのは、自分が製作しようとしている金型の情報だが、その情報は金型に対応する工番を指定するだけで取り出せるようになっている。

図2●全社でものづくり情報を共有する金型ポータル
図2●全社でものづくり情報を共有する金型ポータル
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 金型形状や加工属性を持ったXVLは、現場で手軽に3D表示できるようになっている。まさに、見たい情報を見たい人が即座に引き出せる仕組みができあがっているのだ。実際、登録されたXVLは1万個を優に超えており、過去に設計した金型データを含め3Dで即座に参照できるようになっている。

 それでは、ポータルからはどのような情報が取り出せるのだろうか。図3にあるように、すべての情報はデータベースに格納されており、そこから汎用のブラウザ経由で情報を取り出せるようになっている。CADから自動生成される三面図、3D形状と加工情報を持ったXVL、作業指示などの生産管理情報などを現場で参照可能だ。手書きの指示書や議事録もデジタル化して、データベースに格納しておけば、その情報を取り出すことができる。さらにデジタル化された情報にQRコードを紐付けておくことで、その検索性を高めている。

図3●金型ポータルから取り出せる情報
図3●金型ポータルから取り出せる情報
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