Appleの独自フォーマットに四つの情報を格納

 iBeaconはBLEの仕組みを使うと述べたが、具体的にはBLEの「Advertising」というブロードキャスト・フレームを活用している。Advertisingフレームは定期的に発するフレームでBLE対応の機器であれば、どんな機器でも受信できる。iBeaconでは、このAdvertisingフレームのペイロード部分にApple社独自のフォーマットのデータを埋め込むことで実現している。

 iBeaconのデータは大きく四つの情報から出来上がっている。(1)UUID(Universally Unique Identifier)、(2)Major、(3)Minor、および(4)Measured Powerである(図2)。

図2 iBeaconに含まれる情報

 (1)のUUIDはISO/IEC11578:1996として定められている128ビットの識別子である。この識別子にはVersion 1から5の5種類がある。Version 1はMACアドレスと、UUIDが生成された日時などから構成されるものである。MACアドレスが一意であることから、ユニーク性が確保できる。Version 2はPOSIXのUIDとMACアドレスなどからなるデータである。Version 3はURLやメール・アドレスなどの一意の名前空間のMD5ハッシュ値をベースとしたもの。Version 4は乱数である。Version 5はVersion 3とほぼ同じだが、SHA-1のハッシュ関数をベースとしたものである。

 (2)Majorと(3)Minorは、iBeaconの発信者が自由に定められる、それぞれ16ビットの識別子である。例えば、チェーン店の場合、Majorにエリア情報、Minorに個別店舗のIDなどを入れることが考えられる。また、家電機器にiBeaconを組み込む場合、Majorを製品の型番にヒモ付いた番号、Minorをエラーコードなどとすることで、故障を外部に知らせるといったことが可能になる。

 (4)のMeasured PowerはiBeaconの発信モジュールと、受信機器の間が1mの場合の参照の受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)である。受信機器は、この参照RSSIと受信信号の強度から発信モジュールと受信機器の間の距離を推定する。