マツダが2013年11月に発売した新型「アクセラ」では、同社として初めてハイブリッド車(HEV)を設定した。同社が推進する「一括企画」の中でHEVはどのような位置付けになるのか、そして一括企画によって技術者や開発プロジェクトを統括する主査の仕事はどう変わったのか、アクセラの主査を務めた猿渡健一郎氏に聞いた(一括企画については前編を参照)。

――今回のアクセラでは、トヨタ自動車から技術供与を受けたハイブリッド・システムを初めて採用しました。マツダの固有技術ではないハイブリッド・システムは、一括企画の中でどのような位置付けになるのでしょうか。

新型「アクセラ」の開発責任者を務めたマツダ商品本部主査の猿渡健一郎氏

猿渡氏:まず、ハイブリッド車(HEV)に関するマツダの基本的な考え方を説明します。世の中に出回っているHEVには、マツダの考え方と相容れない点が2つあります。

 1つは、アクセル(ペダル)を踏んだときに音も含めて滑らかに変化しない、言い換えればリニアな特性が(世の中に出回っているHEVには)ないことです。HEVの多くは、静止状態でアクセルを踏むと、まずモータが動き出します。そして、ある車速に達した段階で突然エンジンが動き出すとともに、少しこもったような音がします。その後も、エンジンの回転数は変わらないまま、するするするっと加速していく。CVT(無段変速機)に近いイメージです。

 我々がCVTを選ばない理由は、そこにあります。つまり、音だけが先に上がっていく、次に車速も上がっていくのですが、その過程では音は変化しない。それは、やはり違和感があります。