私事で恐縮ですが、タブレット端末を使い始めて約半年がたちました。妻が誕生日にプレゼントしてくれたのをきっかけに使い始めたのですが、想像以上に便利だと感じています。毎日持ち歩いて、家の中でも、会社の中でも、移動中でも使っています。

 主に使っているのは、Webサイトの閲覧です。検索して調べ物をしたり、ニュースを見たり、メールやスケジュールを確認したり、取材先への行き方を調べたり。その他にも、クラウド上にアップロードした写真を見たり、YouTubeの動画を見たり、ダウンロードした映画を楽しんだり――。インターネット上の情報の閲覧ツールとしては「決定版ではないか」と思えるほど、タブレット端末は重宝しています。

 タブレット端末で文字を入力するのは面倒ではないかと思っていたのですが、想像していたほど不便には感じていません。スマートフォンでの入力に慣れていたためかもしれません。タブレット端末はスマートフォンに比べてソフトウエア・キーボードのサイズも大きく、ずっと入力しやすく感じます。メールの返信、スケジュールの入力、SNSへの投稿、簡単なメモの作成などに、毎日のようにタブレット端末を使っています。先日ある取材で聞いたのですが、今の大学生は高価なパソコンを持たずに、タブレット端末で済ませている人が多いそうです。

 それでも筆者は、タブレット端末と一緒に、ノート・パソコンと紙のノートを持ち歩いています。タブレット端末では不便だと感じる用途があるからです。ノート・パソコンを持ち歩く理由の一つは、タブレット端末では会社内のネットワークにVPN(virtual private network)接続できないことなのですが、これはやや特殊な話なので脇に置いておきます。

 タブレット端末よりもパソコンの方が便利だと感じるのは、長めの文章を書くときです。この程度の長さでも、私にとってはパソコンの方が書きやすいので、今もパソコンでこの文章を書いています。特にコピー&ペーストの機能を使って文章を編集するときは、パソコンの方がタブレット端末よりも操作しやすいと感じます。

 紙のノートが便利だと感じるのは、絵や図形を描くときです。取材では、簡単な絵や図形を書いて取材先の方に見せながら話の内容を確認したり、ペンとノートを取材先の方に渡して説明のために簡単な絵を書いたりしてもらうことがよくあります。タッチ・パネルへの指入力を前提にする多くのタブレット端末では、入力の空間解像度が低いため、かなり粗い絵や図形しか書くことができません。

 現在筆者が進めているタッチ・パネル技術の取材でお会いした、触覚インタフェースの専門家である電気通信大学 准教授の梶本裕之氏は、タブレット端末が手軽に長文を書いたり絵や図形を描いたりできる機器になったら、それは「情報閲覧ツールから文房具になったことを意味する」と説明してくれました。(現在取材中のタッチ・パネル技術の解説記事は年明け早々に掲載予定です。ご期待ください)

 タブレット端末は文房具に進化するのか。それとも情報閲覧ツールとしての利便性向上が進む一方で、パソコンや紙のノートとの役割分担が続くのか。筆者は携帯する端末の数を減らしたいと思っているので、できればタブレット端末が文房具になってくれるとありがたい。今後の技術進化が楽しみです。