「人工物」複雑化の時代 -- 設計立国日本の産業競争力 (東京大学ものづくり経営研究シリーズ)、3,990円(税込)、A5判、436ページ、有斐閣 、2013年3月8日
「人工物」複雑化の時代 -- 設計立国日本の産業競争力 (東京大学ものづくり経営研究シリーズ)、3,990円(税込)、A5判、436ページ、有斐閣 、2013年3月8日
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 「人工物」と「自然物」の本質的な違いは、「事前に設計されているかどうか」にあると本書には記されている。つまり、タイトルにある「『人工物』の複雑化」とは「『設計』の複雑化」を意味し、この状況が進む中で日本のものづくりが参考にすべきアプローチを解説する。

 全13章の構成で、執筆者は編者の藤本隆宏氏を含めて13人。共同執筆の章もあるが、かなり多角的な分析の集合体だ。例えば、第6章では「人工物の複雑化は、多くの場合メカ設計、エレキ設計、ソフト設計をいかに統合するかという問題に帰着する」と述べ、どう統合するのが効果的なプロセスなのかを探る。第7章では、実験作業の負荷増大に対応するためのCAEと品質工学の相互補完的な活用を、電子部品の例に取り上げる。終章において編者は、「日本企業の現場は、複雑な人工物を上手に扱う点において、競争優位をもつ傾向がある」と指摘する。自社の競争力を再考するきっかけとなる1冊だ。

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