ファウンドリ・サービスの概要 製造だけでなく、設計も提供される。同社のスライド。
ファウンドリ・サービスの概要 製造だけでなく、設計も提供される。同社のスライド。
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製造技術で先行という Intelのスライド。
製造技術で先行という Intelのスライド。
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 半導体関連の4つのサイト、「半導体デバイス」、「半導体製造」、「EDA」、「アナログ」に投稿の全記事(日経BP半導体リサーチ記事を含む)の中から直近4週間(2013年10月28日~11月24日)でアクセス数が多かったのは、米IC Insights社が予想する2013年半導体売上高ランキングを紹介した記事だった。

 同記事によれば、2012年に比べて2013年に売上高を伸ばす好調な企業は、メモリ・メーカー、ファブレス半導体メーカー、シリコン・ファウンドリ。一方で売上高の減少など低調な結果に終わりそうな企業は、メモリー以外のICを扱うIDM(integrated device manufacturer)である。ロジックICで、今や唯一の大手IDMとなった米Intel社も例外ではない。売上高ランキングで1位を維持するものの、2013年の売上高は対前年比で2%の減少になると、IC Insightsは予想する。

 こうした状況の打開を図るように次々とIntelは手を打っている。このアクセス数ランキングを紹介する記事では、直近の過去2回、日本法人であるインテルの変化を紹介してきた。前回(今回のランキングで16位に入った)はインテルの社長交代(Tech-On!関連記事1)、前々回はインテルの記者発表内容の変化(Tech-On!関連記事2)である。

アクセス記事ランキング(10/28~11/24)
半導体
1 半導体売上高ランキング、2013年はルネサスがトップ10落ち---IC Insights予想
2 パナソニックが半導体事業の構造改革を加速、富士通とのシステムLSI統合は2014年度初頭に
3 「機電一体の意義は、機のバラつき補正にあり」、デンソーがGSA Forum Japanで講演
4 TSMCの3Q決算に見るスマホ/PC/ゲーム機の需要動向
5 NANDフラッシュ・メモリが絶好調の東芝、2013年度上期決算は大幅な増益
6 ルネサスは3四半期連続の営業黒字、次は「設計開発拠点を集約する」と作田CEO
7 「アナログからデジタルへの移行は終わった。次は再びアナログに注目」、東工大の松澤氏が語る
8 Spansionが富士通セミコンから買収したマイコン事業について説明、「2015年に40nm品を投入」
9 「世界の民生エレ企業の56%が財務上危機的な状況にある」、AlixPartners社が指摘
10 パワー半導体フォーラム2013
11 「4K動画の撮影に対応」、サンディスクが世界最速をうたうCompactFlashカードを発売
12 ニコンが半導体露光装置のアップグレード事業を強化、パワー半導体や3次元LSI市場を狙う
13 Intel社は「IoT」でどう事業を進めるか、会見で説明
14 「家電市場シュリンクの痛手はほぼ乗り越えた」、ONSemiが日本における事業戦略を説明
15 今日のご飯、パサついてない?
16 【半導体】「日本の技術をアジアで活かすことに寄与する」、インテルの新社長が所信表明
17 「SiC基板の製造コストを半分以下に」、ベンチャーが新しい製造方法を提案
18 13年9月の半導体世界売上高、過去最高を記録
19 国内半導体企業の不振で機器メーカーの開発体制にしわ寄せ、その傾向と対策を議論へ
20 第15回●“ハイブリッド・チップ”始まる

 今回の記事でも、伝えたい変化があった。多くのメディアで取り上げられたように、Intelはファウンドリ(製造受託)事業を積極的に行うことを、2013年11月21日(米国時間)の投資家向け説明会で宣言した。同年2月にIntelが米Altera社のFPGAを14nm FinFETプロセスで製造するというニュースが流れた際には大きな話題となったが(Tech-On!関連記事3)、それ以前から有力顧客向けにファウンドリ・サービスを行ったり、カスタムのMPUを開発・提供していることは、公然の秘密だった。21日の説明会では、それを公式に発表したことになる。

 同社のCEOが5月に製造畑出身のBrian Krzanich氏になったことを考えると(Tech-On!関連記事4)、自然な流れと言える。なお、今回発表されたファウンドリ・サービスにはIntelによる設計や後工程(パッケージングなど)も含まれている。

 その説明会では、製造部門トップのWilliam Holt氏(Executive Vice President General Manager, Technology and Manufacturing Group)は、ファウンドリ事業でライバルとなる台湾TSMCなどとの技術力を比較をしたスライドを見せた。それによれば、Intelの製造技術は競合のそれより3.5年進んでいるという。

富士通セミコンとパナソニックのSoC事業統合の行方

 今回の記事ランキングの2位になったのは、パナソニックの半導体事業の構造改革に関する記事である。改革の目玉の一つとなるのが、富士通セミコンダクターとのSoC(システムLSI)事業の統合である。すでに両社において統合対象部署は決まっているが、統合交渉は難航している。当初は2013年度半ばに統合会社を設立する予定だったが、「ここにきてようやく話は前に進み、詳細の段階に煮詰まってきた。2014年度初めには新体制でスタートしたい」(パナソニック)という。

 続いて今回の記事ランキングの3位になったのは、デンソーのデバイス事業の責任者の講演を紹介した記事である。同社の加藤之啓氏(常務役員 デバイス事業部 担当)が「GSA Semiconductor Leaders Forum Japan 2013」(2013年10月29に東京で開催)で講演した。同氏によれば、今後の自動車の電子化のポイントは、複数のECU(electronic control unit)の連携と、機械と電子の統合(機電一体化)である。