スマートフォンやパソコン、データセンターの記憶媒体として使われているフラッシュメモリの発明者、舛岡富士雄先生(東北大学 名誉教授)が文化功労者に選ばれました(リンク先)。文化功労者は、「文化の向上発達に関し特に功績顕著な者」(文化庁ホームページより)が選ばれるそうです。

 舛岡先生は私が東芝に入社した時の上司です。利益を追求する企業の技術者が文化功労者に選ばれるのはとても稀なこと。舛岡先生の指導の下でフラッシュメモリの研究開発に携わった私も、ちょっとだけでも「文化」に貢献できたと思うとうれしいです。

 舛岡先生が発明したフラッシュメモリは、東芝の多くの方の努力により事業化に成功し、同社の主力事業に成長しました。日本経済新聞によると(リンク先)、東芝が2013年10月30日に発表した2013年4~9月期の連結決算は営業利益が前年同期比54%増の1055億円。利益の原動力は、スマートフォンなどに使われる、フラッシュメモリ。フラッシュメモリが主力の電子デバイス部門の4~9月期の営業利益は前年同期比4倍の1137億円と過去最高を達成したそうです。

 少々個人的な思い出を書かせて頂くと、私は舛岡先生と出会わなければ、東芝に入社することも、フラッシュメモリや半導体に携わることも無かった。そもそも、私は博士に進学するつもりだった修士の時に、私にとっては運命的な出会いで舛岡先生にお会いして、「これだ!」と思い、博士課程への進学をやめて、東芝への入社を決意しました。

 当時の東芝は、研究所の所長が自分の部署で採用する新人を決められたので、私にとっては東芝に入社したかったというよりも、舛岡先生の下でフラッシュメモリの研究を行いたくて、入社を決意しました。

 入社してわずか数年で舛岡先生が東北大学に移られ、研究所も潰されていろいろな苦労があったのですが、そのあたりの経緯は、拙著「世界で勝負する仕事術 最先端ITに挑むエンジニアの激走記」(リンク先)に書かせて頂きました。