ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が2013年11月15日に北米で発売した新しい据置型ゲーム機「PlayStation(PS)4」が順調な滑り出しを見せています。発売から24時間で100万台の実売(店舗などを通じて消費者に販売した数)を記録。これまでのPSシリーズ(PSプラットフォーム)の中で「過去最高」(SCE)です。これまで最高だったのはPS2で、3日間で出荷台数は70万台に到達したそうです。この数字はあくまで“出荷”の台数なので、実売は70万台を下回ります。少々回りくどい表現で説明しましたが、要は「爆速で売れた」わけです。

 SCEの関係者にPS4関連で話を伺うと、PS2を引き合いに出されるケースが非常に多い。PS2は2000年2月に発売され、2011年1月に1億5000万台を突破した、いわばゲーム機の“王様”だからです。シェアも高かった。つまり、SCEはPS4で再びPS2のような大成功を目指しているわけです。この目標は、少なくとも発売時の売り上げでは超えました。

 一般に、日本では携帯型ゲーム機の方が好まれ、据置型ゲーム機に対して「?」を持つ方もいらっしゃると思います。ところが、欧米ではむしろ据置型ゲーム機の方が主流です。米国では、やはり米国企業であるMicrosoft社の「Xbox 360」の存在感は他の市場に比べて非常に大きい。その米国でPS4が順調な滑り出しを見せたことは、SCEには非常に大きな意味があると考えられます。この原稿執筆時ではMicrosoft社の「Xbox One」はまだ発売されていないのではっきりと言い切れませんが、他のゲーム機メーカーに対してきつい先制パンチを放ったことになります。

 事前予約の段階から、PS4は好調だったようです。その理由としてSCEは、PS3の発売時に比べて価格が安いことと、PS4の発売時から多くのゲーム・タイトルがそろうことの二つを挙げていました。

 実際、PS4は北米では399米ドルと、発売当初のPS3より安価です。2006年に発売されたPS3は当初、安価な機種でも499米ドルでした。

 また、PS4と同じようなハードウエア構成を採るXbox Oneは499.99米ドルです。Xbox Oneは、新しいKinectが同梱されていてこの価格なので、一概に比較できませんが、ユーザーにとって初期の導入コストはPS4の方が安価なわけです。

 2013年6月11~13日に開催された、ゲーム業界で世界最大級の展示会「E3」でSCEがPS4の価格を初めて公開した際、その発表会場では参加者からの大歓声が巻き起こりました。この発表会はプレス・カンファレンスという位置付けなので、業界関係者の他、多くの報道陣が駆けつけました。ゲーム業界のジャーナリストやライターなどは、当然のようにゲーム愛好者が多い。つまり、この発表段階で、PS4の価格はゲーム愛好者たちに受け入れられたことになります。

 もう一つの理由であるゲーム・タイトル数も多いです。PS4と同時に発売されるタイトル数は33と、PS3の約6倍に相当します。タイトル数が多いほど、多くのユーザーに訴求できます。

 この二つの理由で、PS4は順調な滑り出しを見せたと考えられます。もちろん、発売時の勢いが今後も続くかどうかは分かりません。初期の購入者はゲーム愛好者の中でも特にゲームが好きな人々が購入します。これが一般的なユーザーにまで広がるのか、今後も追っていきたいと思います。

 と、前置きは長くなりましたが、そのPS4を入手し、いつものように分解しました(実は分解記事を告知したかったのです)。第1報はTech-On!に好評掲載中です(記事はこちら)。そして日経エレクトロニクス2013年11月25日号にも分解記事を掲載しました。ちなみに同号の特集はウエアラブル機器です。こちらも合わせてお読みいただければ幸いです。