ハードウエアは衰退が続く——2010年代の状況

 もう一度、整理する。

 第2次世界大戦後の日本の電子産業の発展過程は、3期に時代区分できる。1985年までは輸出主導で高度成長した。1985~2000年には内需主導に転換、そこそこ成長した。2000年以後、国内生産は10年で半減というペースの衰退を続けている。ただし電子部品は、2007年まで生産も輸出もそれなりに伸びた。2008年以後は、すべてが衰退している。

 以上に整理した「電子産業」の生産や輸出入は、ハードウエアに関する統計である。そこで別の統計で、ソフトウエアやコンテンツを含んだ情報通信産業の状況を見ておこう。

 図4は、総務省の「ICTの経済分析に関する調査」の結果から、情報通信産業の名目生産金額と、その名目生産金額が名目GDPに占める割合を図示したものである。2000年以後は、どちらも減少傾向にある。とはいえ図2のような激しい減少を示しているわけではない。

図4 情報通信産業の生産金額と国内総生産における比率
資料:総務省「ICTの経済分析に関する調査」(平成24年)
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 図4における「情報通信産業」には、「郵便」「新聞」「出版」「広告」などが含まれている。これらは、普通は電子産業とは考えない。けれども電子出版やインターネット広告などの動向を考えれば、図4が対象としている分野すべてが、いまや電子情報通信分野と深い関わりがある。図2が、電子情報通信産業のうちの製造業部分の動向を示しているのに対し、図4は、電子情報通信産業が全体として生み出す付加価値を表している。

 落ち込みが激しいのは製造業の方である。日本の電子情報通信分野では、ハードウエアに関するかぎり、生産も輸出も内需も衰退が続いている。これが2013年の現状である。