連載主旨
 日本の電子産業、特に大手エレクトロ二クス・メーカーの衰退に歯止めがかからない。電子産業の生産額は2000年の約26兆円をピークに急減。この10年でほぼ半減した。業績悪化の結果、大手メーカーは構造改革の名の下に事業規模を縮小している。

 日本の経済成長を支えてきた電子産業は、なぜ、ここまでの事態に陥ったのか。電子立国の再興に光はあるのか。

 元・日経エレクトロニクス編集長で技術ジャーナリストの西村吉雄氏が、政策・経済のマクロ動向、産業史、電子技術の変遷などの多面的な視点で、凋落の本当の原因を解き明かしていく。
西村 吉雄(にしむら・よしお)
技術ジャーナリスト
西村 吉雄(にしむら・よしお) 1942年生まれ。1971年、東京工業大学大学院博士課程修了、工学博士。東京工業大学大学院に在学中の1967~68年、仏モンペリエ大学固体電子工学研究センターに留学。この間、マイクロ波半導体デバイスや半導体レーザーの研究に従事。1971年、日経マグロウヒル社(現在の日経BP社)入社。1979~1990年、『日経エレクトロニクス』編集長。その後、同社で、発行人、調査・開発局長、編集委員などを務める。2002年、東京大学大学院工学系研究科教授。2003年に同大学を定年退官後、東京工業大学監事、早稲田大学大学院政治学研究科客員教授などを歴任。現在はフリーランスの技術ジャーナリスト。著書に『硅石器時代の技術と文明』『半導体産業のゆくえ』『産学連携』『情報産業論』『科学技術ジャーナリズムはどう実践されるか』『FUKUSHIMAレポート』など。