日本の大学やスタートアップ企業から生まれたワイヤレス技術を表彰する「NE ジャパン・ワイヤレス・テクノロジー・アワード」。その第2回の開催を記念して、アワードの審査員によるパネル・ディスカッションが2013年10月4日に「CEATEC JAPAN 2013」で開催された。(モデレータは林 哲史=日経BPイノベーションICT研究所 副所長)

――パネリストの皆さんには第1回の「NE ジャパン・ワイヤレス・テクノロジー・アワード」でも審査員を務めていただきました。前回のアワードを振り返って、印象的だったことは何ですか。

山田氏 感銘を受けたのは、ワイヤレス技術の応用分野の広がりです。10個の候補技術だけ見ても、自動車への給電や補助人工心臓の駆動、そしてミリ波やテラヘルツ波といった高周波を用いた高速通信など、多様な出口を見せてもらいました。そして、候補となった技術の内容や発想にはとても勇気付けられました。第2回のアワードでも、そうした技術の発掘に協力していきたいと思っています。

中村氏 私は人対人や人対機械などの通信を実現するための移動通信にずっと関わってきました。前回のアワードの審査を通じて私も感じたのが、ワイヤレス技術のバリエーションの広さです。「我々のような移動通信事業者にとって、ひょっとしたらこうした分野がビジネスチャンスになるのではないか」と夢をふくらませる良い機会になりました。たとえ直接的なビジネスチャンスではないとしても、付加価値的なものとして提供できる可能性はあると思いながら技術を見ていました。

笠井氏 ワイヤレスといえば、以前はある程度の距離間での通信が中心でした。候補となった技術を見て、そうした昔の概念とは異なる、mmやμmの世界へのワイヤレス技術の応用も着実に進んでいることを強く感じました。 

 QoL(quality of life:生活の質)を高めることを狙った技術が多いことも印象的でした。そうした技術が近いうちに身近なものになりそうだという印象を受けました。