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 日経ものづくり2013年8月号の特集「難加工材に挑む」の取材で、セラミックスや金属を精密加工して少量生産品などを製造する大塚精工(本社福岡県・志免町)を訪ねました(Tech-On!関連記事)。その際、新しい加工技術やノウハウを生み出すための、同社の取り組みをうかがいました。まず見せてくれたのがおもちゃのようなセラミックスの加工品(図)。ピラミッド状のものや多面体、複雑に絡みあった4つのリングが目につきました。これらは、全て切削加工で造るのだそうです。特に4つのリングは、どう造るかまったく分かりませんでした。

 これらは何の役に立つのでしょうか。実は、従業員が自主的にテーマを立てて加工の限界や新たな加工ノウハウを試すために試作したものです。ですから加工品としては役に立ちませんが、そこで実践された加工技術が役に立ちます。同社でセラミックスの加工に従事するのは十数人ですが、そのうちの2~3人が、業務時間の一部を充て、約1カ月かけてこうした加工に挑戦するそうです。

 こうした新しい挑戦から新しい発想が生まれ、これまでできなかった加工が実現できるようになったり、生産性が劇的に高まったりしたケースが幾つもあるといいます。中には、加工時間が8時間から2時間になったこともありました。「あえて常識外れに挑戦してもらっている。そうしないと新しいことは生み出せないから」と同社社長の代表取締役社長の井石雄一氏は説明します。今日も大塚精工では新しい発想の加工への挑戦が続いていることでしょう。

 大塚精工は、2013年11月20(水)~21日(木)に東京都立産業貿易センターで開催される「ものづくりパートナーフォーラム2013」に出展します。興味のある方はお立ち寄りいただければと思います。