Bluetooth 4.0 は 2011 年 6 月に公開された、現時点における Bluetooth の最新仕様です。4.0 の特徴は「Low Energy(LE)」と「アトリビュート(ATT)」という仕様を取り入れたことですが、今回はこの2点に重点を置いて解説します。

Bluetooth のバージョンと仕様について

 まず明らかにしておきたいのは、「Bluetooth Low Energy(LE)」と「Bluetooth 4.0」という用語の定義は同じではない、ということです。「Bluetooth LE」は Bluetooth 4.0で新たに追加された新しい通信方式ですが、「Bluetooth 4.0」は以前の Bluetooth バージョンの仕様のすべて(2.1で追加された高速モードのEDRや、3.0で追加された超高速モードHSも)を含んでいいます。つまり「Bluetooth X.X」という表記はプロトコル仕様であってハードウエア仕様を示すものではなく、ハードウエア拡張仕様についてはバージョンの後に付く「EDR」とか「HS」とか「LE」によって示されるのです。例を挙げると
「Bluetooth 1.2」...1Mビット/秒のBluetooth(BDR)
「Bluetooth 2.1」...1Mビット/秒のBluetooth、SSPペアリングなどの拡張仕様に対応
「Bluetooth 2.1+EDR」...上に加えて2Mビット/秒/3Mビット/秒のEDR高速モード対応
「Bluetooth 3.0+EDR」...上に加えて拡張省電力モード(EPC)などに対応
「Bluetooth 3.0+HS」...上に加えてWiFi利用の超高速モード(HS)に対応
「Bluetooth 4.0+HS」...上に加えてGATTアトリビュートに対応
「Bluetooth 4.0LE」...GATTアトリビュートに対応、LEモードに対応(ただし、この表記からBDR/EDR対応状況は読み取れない)

 ややこしいですね。この対応関係は2.1(+EDR)までは比較的シンプルだったのですが、モードの増えた3.0以降でだんだん曖昧となり、「Bluetooth 3.0」を名乗っていてもHSどころかEDRにも対応していない製品もあります。4.0仕様のフルスペックになるとPHY層だけで4種類も(BDR、EDR、HS、LE)あり得るわけで、単に「Bluetooth 4.0対応」とだけ書かれても、どの通信モードに対応しているのか分かりません。だからといっていちいち全スペック並べて「Bluetooth 4.0LE+EDR+HS」と書くのもまどろっこしいです。

 Bluetooth SIGでも、これが問題だと考えたのか「Bluetooth SMART」(LE単機能デバイス)と「Bluetooth Smart Ready」(LEとレガシイBluetoothの両方に対応したデバイス」という用語を作って普及に努めています。なお、「レガシイBluetooth」というのは正式な用語ではありませんが、この記事中では2.1以前のBDR/EDR Bluetoothのことを便宜上そう呼ぶことにします。