「第43回東京モーターショー2013」の開催が、いよいよ来週に迫ってきました。各社の出展内容を見て、一つ感じるのが、軽自動車市場で、ますます競合が厳しくなっていることです(各社の出展内容)。

 日産自動車は、三菱自動車と共同開発し、三菱の水島工場で生産する「Dayz」に続き、ダイハツ工業の「タント」やスズキ「スペーシア」に対抗する背高ワゴンの「Dayz Roox」を出展する予定です。さらに2013年11月9日付の日本経済新聞は1面で、日産自動車が2014年から子会社の日産自動車九州で、軽自動車の生産を始めることを報じました。

 ホンダも、スズキ「ワゴンR」やダイハツ「ムーヴ」と真っ向から競合する新型車「N-WGN」を出展します。これまで「N-BOX」や「N-ONE」といった新世代軽乗用車をヒットさせているホンダが、いよいよ軽自動車市場で最も大きな比率を占めるセグメントに挑むのが注目点です。

 守るスズキ、ダイハツは、商品の多様化で対抗します。今回スズキが出展する「HUSTLER」はクロスオーバータイプの軽自動車を提案する参考出展車で、SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)テイストのデザインでありながら、広い室内空間を確保したのが特徴です。一方ダイハツは、FF(前部エンジン・前輪駆動)、2座席の軽オープン車「KOPEN(コペン)」を出展。前後バンパ、ボンネットなど、外装の12部品を交換できる構造が特徴です。軽スポーツカーでは、ホンダもミッドシップの軽スポーツコンセプト車「S660」を出展します。

 国内市場の4割を占めるようになった軽自動車が多様化していくのはある意味必然的なことですが、一方で、課題だと思うのがグローバル化への対応です。小さな車体に広い室内、高い燃費性能を備えた軽自動車は、本来なら新興国地域で理想に近い車種になるはず。すでにスズキやダイハツは、中国市場、インド市場、ASEAN地域などで軽自動車をベースにした車種を現地生産していますが、まだまだ拡大の余地はあるはずです。

 国内市場での競争力を最優先して開発している現在の軽自動車は、新興国地域ではややオーバークオリティで、コスト高になっていることも、軽自動車のグローバル化を妨げている一つの要因でしょう。国内メーカーは現在、国内生産台数を維持する切り札として、軽自動車に力を入れざるを得ないという切実な事情がありますが、日本メーカーの知恵を小さい車体に詰め込んだ軽自動車を国内だけで展開するのはもったいない。軽自動車をグローバル車にどう育てるか、日本メーカーの一つの大きな課題だと思います。