蓄積した成功体験は使いよう

 韓国Samsung Electronics社なども成功しているスマートフォン「GALAXY」の次のヒット作がなかなか出ていない状況は同じです。これについては「朝鮮日報」の報道を引き合いに「ニッポン製造業に物申す(下)、社内に縁側をつくろう」で取り上げています。

 しかし考え方を少し変えればこうも考えられないでしょうか。日本企業は今までのビジネスの蓄積が大きく、これが成功体験の罠として日本企業の足を引っ張っている半面、この蓄積が新たなビジネスを生み出す引き出しにもなる可能性を秘めています。ただし今までの成功体験にしがみつくという固定化されてしまったマインドを自ら勇気を持って打ち破る必要があるのも事実なのです。これが最終的に企業の縁側にも繋がっていくと考えています。

 このシリーズでは、新たなビジネスを生み出す方法について体系的に述べていこうと思っています。次回も「提言1:日本はB2Cビジネスをあきらめてよいのか?」に関して、B2BおよびB2C企業とブランド戦略について考えたいと思います。

生島大嗣(いくしま かずし)
アイキットソリューションズ代表
大手電機メーカーで映像機器、液晶表示装置などの研究開発、情報システムに関する企画や開発に取り組み、様々な経験を積んだ後、独立。「成長を目指す企業を応援する」を軸に、グローバル企業から中小・ベンチャー企業まで、成長意欲のある企業にイノベーティブな成長戦略を中心としたコンサルティングを行っている。多数のクライアント企業の新事業創出/新製品企画・開発等の指導やプロジェクトに関わる一方、公的機関等のアドバイザ、コーディネータ、大学講師等を歴任。MBA的な視点ではなく、工学出身の独自視点での分かりやすい言葉で気付きを促す指導に定評がある。経営・技術戦略に関するコンサルティングとともに、講演・セミナー等の講師としても活躍中。
生島ブログ「日々雑感」も連載中。
中国ビジネス書の翻訳出版本である「中国モノマネ工場――世界ブランドを揺さぶる「山寨革命」の衝撃」の監修・解説も担当した。