新たなB2Cビジネスを生めないのは大問題

 しかしながら、B2Cビジネスがこのまま衰退した状態でよいとは思えません。今までのビジネス・モデルが機能しないなら新たなビジネス・モデルを創り上げる必要があるのではないでしょうか。

 もちろんB2Bビジネスが十分うまく機能している企業がわざわざB2Cに進出する必要もないでしょう。しかしB2Cビジネスがうまく機能しない、新たなB2Cビジネスが生まれてこない状況は、B2Bビジネスにも長期的にはよい状況をもたらさないと思えるのです。ところが現状を見てみると、B2Cで成功した大企業からは今まで成功したビジネス・モデルからなかなか抜け出せずに苦戦しています。

 今は新しい発想で今までになかったB2Cビジネスを生み出す好機でもあるのですが、米Google社や米Apple社、米Facebook社、電機自動車の米Tesla Motors社などの新しいB2Cビジネスはほとんど米国で生み出されており、日本からはなかなか出てきません。やはり技術を拠りどころにする思考からなかなか離れられず、もう機能のブラッシュアップでは新しいビジネスを生み出せないという事態に日本企業がなかなか対応できていないからだと考えています。

 その結果、従来B2Cビジネスを主に行っていた企業の多くがコンシューマ向けの製品やサービスを行なっていたB2Cビジネスを縮小し、部品などのB2Bビジネスを増やしています。このことは私には戦略的なグランド・デザインを基にした行動というよりも、B2Cビジネスでの製品売上高が減少した分を補うために今までの垂直統合で培われてきた技術や部品製造の部分をB2Bビジネスとして切り売りしているように思えてなりません。